[ウィーン/パリ 6日 ロイター] - イランが国際原子力機関(IAEA)の査察官を一時拘束し、渡航書類を没収した。IAEAの関係筋が話した。イランによる嫌がらせだとの声も上がっている。
イランと主要6カ国が画期的な核合意を結んだ2015年以降、こうした事案は初めてとみられる。合意の下、イランは核開発を制限し、見返りに米欧が対イラン制裁を解除した。
現在イラン・米欧間は緊張が高まっている。米政権が合意から離脱し制裁を発動したことに対しイランは順次、合意の履行を停止している。またIAEAは来月から新たな事務局長が就任するにあたり、移行期間にある。
IAEAは7日に35カ国から構成される理事会を開くことを急きょ決めた。4日に流出した議題には「2つの案件における保護措置」を協議すると書かれている。
米欧当局の関係筋は「IAEAは、この事案をどれだけ深刻に受け止めているかを示したがっている。関係を損ねる前例になりかねない」と述べた。
IAEAの関係筋3人によると女性査察官がイランに渡航書類を没収された。2人の関係筋は、女性がイランに滞在中、一時拘束されたと話した。
1人の関係筋によると、事案は先週、核施設のある中部ナタンツで起きた。別の関係筋もナタンツで起きたと語っている。
核合意はIAEAが監督している。合意の下、130―150人の査察官をイランへ派遣することが認められている。
IAEAの報道官とIAEAのイラン大使はコメントしなかった。
関係筋によると理事会で協議するもう1つの議題は、首都テヘランの施設でウランが見つかったことを巡り、IAEAの説明要請にイランが十分協力していないことだ。イスラエルは施設が「秘密の原子力倉庫」だと述べている。イランは絨毯を清掃する施設だと説明している。
IAEAは施設でウランが見つかったことを正式には確認していないものの、9月にイランに対し、回答を巡る「期間厳守」を求めた。そして10月にはイランの協力姿勢に改善がみられたと報告した。