[ドバイ 7日 ロイター] - イランは、中部フォルドゥの地下施設で遠心分離機にウランガスを注入し、ウランの濃縮活動を再開した。イラン政権に近いタスニム通信が7日、イラン原子力庁(AEOI)の声明を伝えた。
声明は「すべての準備がうまく運び、遠心分離機へのウランガス注入を7日に開始した。国連の核監視当局の査察官が、すべてのプロセスを監視している」としている。
遠心分離機へのガス注入開始により、フォルドゥの施設は2015年の核合意で認められた研究施設ではなくなり、禁止されている核物質を生産する稼働中の核施設となった。
AEOIのカマルバンディ報道官は、国営テレビに対し「プロセスが安定するまでには数時間かかる。国際原子力機関(IAEA)の査察官が再び施設を訪問する9日までに濃縮度は、4.5%に達しているだろう」と述べた。核兵器への転用には90%以上の濃縮度が必要になる。
核合意を離脱した米国の制裁強化で経済が疲弊するイランは、核合意の履行を停止する措置を段階的に導入している。
核合意でイランは、フォルドゥの施設を「原子力・物理学・技術センター」に転換し、同施設の遠心分離機1044台はアイソトープ生産などウラン濃縮以外の目的に使用することに同意していた。
カマルバンディ報道官によると、696台にウランガスが注入された。
今回の動きにより、核合意の存続は一段と厳しい状況となる。