[ニューヨーク 2日 トムソン・ロイター財団] - 地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約の第25回締約国会議(COP25)が開幕した2日、世界の大手企業や労働組合が共同声明を発表、気候変動対策への取り組みは米国の経済に貢献して雇用創出につながると強調するとともに、米国は地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」にとどまるべきだと主張した。
トランプ米大統領は、パリ協定への参加で米国は数兆ドル規模のコスト負担を強いられると指摘。多くの雇用が失われ、石油やガス、石炭業界、製造部門に打撃が及ぶとして、先月、パリ協定からの離脱を正式に通告し、手続きを開始した。
共同声明に名を連ねた企業はアップル (O:AAPL)やテスラ (O:TSLA)、ユニリーバ (L:ULVR)、ロイヤル・ダッチ・シェル・グループ (L:RDSa)などで、200万人以上の米国人を雇用している。また労働組合は約1250万人の組合員を代表している。
声明は「パリ協定にとどまることで米国は、世界市場で競争力を強化し、移行を支援する新技術の導入を主導するほか、国内の労働者や地域社会に貢献し、持続可能な雇用や企業を作り出す」と指摘している。
国際労働機関(ILO)は、環境に配慮した経済のための政策を推し進めることで、2030年までに2400万の雇用が生まれると指摘。気候変動対策への取り組みでは、職を失う人よりもはるかに多い600万以上の雇用が再生可能エネルギー分野で生まれると試算している。
一方、気温上昇が続けば、2030年までに8000万人が職を失う恐れがあり、その打撃は貧困国で特に大きいとILOは指摘している。
企業の経営陣や労組幹部らは、再生可能エネルギーの導入に伴い、石油業界などで働く人が失業する恐れがあり、そうした人達に配慮した「公正な移行」が必要だと訴えた。
グテーレス国連事務総長も「(再生可能エネルギーへの)移行期間では、マイナスの影響を受ける人々が常にいる」と述べ、多くの人々はグリーン経済の恩恵を受けるが、職を失う可能性がある人々に対する政策が必要だと説明した。