[北京/シンガポール 16日 ロイター] - 米中両国は15日、貿易交渉を巡る「第1段階」の合意に署名した[nL4N29K3WN]。ただ、中国はコモディティーやエネルギーに対する関税をさらに引き下げたり、免除したりしていない。トランプ米政権高官は15日、中国が輸入コミットメントを果たすために、関税を免除したり、調整したりする必要があることを認めた。一方、今のところ中国はそうしたことにコミットしていない。
米国のコモディティー・エネルギー主要品目を巡り、第1段階合意後も残る中国の関税は以下の通り。
中国は2019年9月1日から米国の原油に5%の関税を課している。米中貿易戦争が始まってから米国の原油が対象となったのは初めてだった。この5%関税は第1段階合意の影響を受けなかった。
<プロパン>
中国は19年12月1日に発動する予定だった米国のプロパンに対する追加の5%関税を既に撤廃。18年8月23日に課した25%関税は残っている。新たな免除措置は15日に適用されなかった。
<液化天然ガス(LNG)>
中国は18年9月に米LNGに対して10%の懲罰関税を導入し、19年6月には税率を25%に引き上げた。LNG関税は今回の合意に影響されない。
<メタノール、エチレングリコール(MEG)>
中国は19年6月に米国のメタノールとMEGに25%の関税を発動。今回の合意では影響を受けなかった。
15日時点で追加関税は撤廃されていないが、最近数カ月に一定の関税免除措置が取られた。
18年7月に大豆に対して25%の関税が発動され、商業上の買い入れはすべてストップしたものの、中国の粉砕業者は18年12月の休戦を受けて米国市場に回帰。昨年9月には追加で5%の税が発動された。中国政府は一部の米国産大豆輸入業者を対象に関税適用除外を付与した。
米国産豚肉は12%の「最恵国」関税を含め、トータルで72%の輸入税に直面。これらの税は今回の合意で変化はないものの、中国は米国産食肉輸入を増やすとみられる。中国ではアフリカ豚コレラ(ASF)の流行で豚の飼育数が減っているほか、国内の豚肉価格が過去最高水準にまで上昇している。
すべての国からの冷凍豚肉輸入に対する関税率引き下げを受け、米国産冷凍豚肉に対するトータルの輸入関税は今月1日から68%に下がった。これは生肉、冷蔵豚肉、臓物には適用されなかった。
<金属くず>
今回の合意では金属くずに対する税に変更はなかった。19年12月15日に適用されるはずだった米国産アルミくずに対する5%の追加の税は先月取り消された。アルミくずは18年4月の当初25%関税の影響を既に受けており、18年8月に追加で25%の関税が発動された。
<レアアース>
中国は19年、米国に対するレアアース輸出の制限見通しを示したが、正式な制限や輸出税は発表していない。輸入面では、米国産レアアース鉱石とレアアース磁石の輸入に対して19年6月から25%の関税を課しているが、19年12月に適用予定だった後者に対する追加の5%関税は取り消した。