[ドバイ 27日 ロイター] - サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は27日、新型コロナウイルスによる世界経済や原油需要への影響を巡る「暗い見通し」をけん制した。
コロナウイルスにより27日までに81人が死亡、2700人以上が感染した。各国の保健当局が中国からの渡航者の検査を強化している。
患者数の増加や中国による各都市の封鎖、旧正月の連休の延長を背景に原油需要への懸念が高まり、原油価格は27日に約3%下落した。
アブドルアジズ・エネルギー相は「ウイルスの世界原油需要への影響は極めて限定的にもかかわらず、主に心理的な要因や、一部市場参加者が抱いている極端にネガティブな見通しによって」原油やその他の市場が影響を受けていると指摘した。声明で「2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染が拡大した際にもこうした極端な悲観主義が見られたが、原油需要が大幅に減少する事態には至らなかった」と述べた。
アラブ首長国連邦(UAE)も同様の見解を示した。UAEのマズルーイ・エネルギー相は「中国での出来事によって原油需要が今後減るとの見方について大げさに見積もらなことが重要だ」とした。3月には「OPECとOPECプラス加盟国が市況について話し合い、必要であれば市場の均衡を保つためのあらゆる選択肢について協議する」と付け加えた。
サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は、OPEC加盟国とロシアなどの非加盟国でつくる「OPECプラス」の産油国は原油市場の安定を維持するため、必要に応じてあらゆる展開に対応する能力と柔軟性を持つと確信していると述べた。中国政府と国際社会がウイルス拡大を阻止できると確信していると付け加えた。
オマーンのルムヒ石油・ガス相は27日、コロナウイルスが市場に与えるいかなる影響にも対応するとのサウジの姿勢を完全に支持するとロイターに対して話した。
OPECプラスは原油相場下支えに向けて日量170万バレル(bpd)の協調減産に合意している。合意は3月末までが期限となっている。
アブドルアジズ・エネルギー相は3月にウィーンで開く会合であらゆる選択肢を検討すると述べた。OPEC関係筋はこの日、OPECプラスが3月以降も現行の減産を続けることに関して「初期協議」を進めていると話した。必要であれば、また、中国のコロナウイルスの感染拡大が原油需要に影響した場合、追加減産も検討しているという。
*内容を追加しました。