[ドバイ/モスクワ/ロンドン 10日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は9日、5月と6月に日量1000万バレルの減産を行うことで合意した。新型コロナウイルス感染拡大による影響で打撃を受けた原油価格を支える。
発表された声明によると、すべての参加国が23%の減産を行い、サウジアラビアとロシアがそれぞれ日量250万バレル、イラクが同100万バレル超、減産する。
その後減産量は、7─12月に日量800万バレル、2021年1月─22年4月には同600万バレルとなる。
ただ、OPECプラスによると、最終合意が成立するかどうかは、メキシコが合意に署名するかどうかにかかっている。メキシコは、要請された減産量の受け入れを渋っているという。
OPECプラスは6月10日に再びビデオ会議を開催し、市場の状況を精査するという。
OPECプラスの関係者は、米国をはじめとする他の産油国が日量500万バレルの減産を実施することを期待すると述べた。しかし、OPECプラスの声明文にはこの点に関する言及がない。
複数の関係筋によると、OPECプラスは米国の参加が不可欠と考えており、米国の参加を促すため、緩やかに減産を進める方針だ。
米国は9日のOPECプラスの会合に招待されていたが、今回のビデオ会議に参加したかどうかは不明。ブラジル、ノルウェー、カナダも会合に招待されていた。
日量1000万バレルは世界の原油供給の10%に相当するが、世界の原油需要は各国の新型コロナウイルス対策で日量3000万バレル減少している。
日量1500万バレルという前例のない大規模な減産が実現しても、原油の余剰は解消されないとみられる。
トランプ米大統領は減産を実施する方針を全く示唆しておらず、米国の生産は原油安によりすでに減少していると主張。サウジアラビアが減産を進めなければ制裁や関税を課すと警告していた。
OPECとロシアの当局者は、現在の危機に対応するにはすべての産油国の関与が必要になると指摘している。
ロシアの政府系ファンドのキリル・ドミトリエフ氏はロイターに「OPECプラス以外の産油国が減産に参加すると期待している。あすの20カ国・地域(G20)会合で決まるかもしれない」と述べた。
10日にはサウジが議長国を務めるG20エネルギー相会合が開催される。
3月に18年ぶりの安値に沈んだ北海ブレント先物 (LCOc1)は9日、1バレル=32ドルと2019年末の半分の水準で取引された。
*内容を追加します。