[コペンハーゲン 20日 ロイター] - ロシアのラブロフ外相は20日、同国や米国など8カ国で構成する北極評議会で演説し、北極圏での緊張の高まりを背景に軍のハイレベル会合の再開を呼び掛けた。ノルウェーのロシア国境近くへの外国軍部隊派遣に懸念を示した。
温暖化で北極圏でも船舶の航行や漁業、資源掘削が可能になっており、ロシアが軍事的プレゼンスを高めているほか、米国も海軍演習を活発化させている。ブリンケン米国務長官は18日、ロシアの北極圏での行動を「不当な海洋権益を主張している」と批判していた。
北極評議会は北極圏に接する国や先住民の間で環境保護や持続可能な発展などについて話し合うために1996年に設立された機関で、安全保障問題は扱わない。
ロシアは今年、北極評議会の議長国を引き継ぐ。
ラブロフ外相は「北極評議会でのわれわれの前向きな関係を軍事面にも広げるのが重要だ」と述べ、8カ国による軍事専門家会合の開催を提案した。
北極圏地域の国の軍制服組トップの年次会合は、ロシアのクリミア編入を受け2014年に停止。ロシアは北極圏安全保障軍事会議(ASFR)にも同年以降、参加していない。
ラブロフ氏は演説で、北大西洋条約機構(NATO)メンバーのノルウェーが先月、空軍や海軍の基地3カ所に米軍の施設建設を認めたことに懸念を示し、「わが国との国境付近での動きを懸念している」と述べた。
ノルウェーとロシアの関係は、冷戦終戦後、徐々に改善していたが、ロシアのクリミヤ編入で再び悪化し、国境の両側で軍の活動が活発化している。