[ドバイ 5日 ロイター] - サウジアラビアは湾岸協力理事会(GCC)の他の加盟国からの輸入に関する規則を変更した。今後は中東の自由貿易地域で生産されたり、イスラエルが関与した製品を優遇関税の対象から除外する。中東の貿易・ビジネス拠点として自由貿易地域の恩恵を受けるアラブ首長国連邦(UAE)に対抗する狙いがある。
サウジとUAEは隣り合う同盟国同士にもかかわらず、投資家や企業の獲得で競い合う関係にある。中東で最大の輸入国であるサウジは石油依存からの脱却を図りつつ、国民の雇用創出に取り組んでいる。
サウジとUAEは、イスラエルやトルコとの関係で異なる路線を取り、ここ数日は石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の減産延長を巡って対立している。
サウジの官報に掲載された省令によると、中東の自由貿易地域で生産されたあらゆる製品は今後、域内で生産された製品と見なさず、優遇関税を適用しない。また、イスラエル国内で生産、イスラエルの投資家が部分的にでも所有する企業が生産、あるいはイスラエルに関するアラブのボイコットリストに掲載された企業が生産した部品を使った製品も優遇関税の対象外となる。
UAEとイスラエルは5月、昨年の国交正常化を受けて相互の経済発展促進に向けた租税条約に調印した。
サウジ・ナショナル銀行のシニアエコノミスト、アミール・カーン氏は、当初は湾岸諸国による市場をつくるという構想だったが、今やサウジとUAEの国益上の優先課題がかなり異なっているとの認識があるとし、今回の輸入規制で、両国の「政治的な隔たり」がさらに大きくなっていると指摘した。
サウジ政府は2月、外国企業がサウジに恒久的な事業基盤を築くことを促す目的で、2024年1月1日以降、同国に拠点を設けない外国企業との取引を行わない方針を表明した。これまで、サウジと取引する外国企業が拠点を置いてきたUAEのドバイ首長国に痛手とみられている。