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アングル:UAEとサウジの経済対立、原油減産協議不調に発展

発行済 2021-07-06 15:39
更新済 2021-07-06 15:46
© Reuters.   7月5日、石油輸出国機構(OPEC)の減産協議はアラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアの対立が表面化する異例の展開となり、中東の2大国の経済を巡る競り合いの激化が浮

[ドバイ 5日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)の減産協議はアラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアの対立が表面化する異例の展開となり、中東の2大国の経済を巡る競り合いの激化が浮き彫りになった。今後も両国間の緊張は高まり続けるとアナリストは見ている。

週末の協議ではサウジが減産の8カ月延長を主張したが、UAEが反対して折り合いがつかず、OPECにロシアなど非加盟産油国を加えた「OPECプラス」は、5日に再開する予定だった閣僚級会合を延期した。

UAEのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン・アブダビ皇太子は、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と強い結びつきがあり、UAEがサウジに反対の姿勢を示すのは珍しい。

サウジ・ナショナル銀行のシニアエコノミスト、アミール・カーン氏は「OPEC内部の対立が示すのは、UAEがサウジに対して経済的、国家的な利益をより強く主張し始めたことだ」と述べた。

若く野心的な皇太子2人はこれまで、イエメン内戦への軍事介入、アラブ諸国によるカタールのボイコット、中東などにおけるイスラム主義政治グループとの戦いなど、強硬な対外政策を連携して押し進めてきた。

一方、経済の石油依存からの脱却を図りたいサウジは、UAEとの間で外国の資本や人材を奪い合っている。ただ、エコノミストは中東地域におけるビジネスや通商、観光業のハブであるUAEにとって、サウジが真の挑戦者となるには時間が掛かると見ている。

政治アナリストのAbdulkhaleq Abdulla氏は「アラブの2つの経済大国の関係に経済的な競争が忍び寄っており、競り合いが激しくなるのは間違いない」と述べた。

アナリストによると、両国はともに中東地域におけるイランとイスラム主義グループの脅威を感じているため、政治的な対立には歯止めが掛かる可能性が高い。しかし、経済的な覇権を巡っては角を突き合わせる場面が増えそうだ。

サウジは2024年以降、地域の拠点をサウジ国内に設けない外国企業とは事業契約を結ばない方針を表明した。最近も中東湾岸諸国からの輸入規則を見直し、UAE経済の推進役を担っている自由貿易地区で製造された製品を優遇税制の適用対象から除外した。

中東の複数の外交筋によると、特に新型コロナウイルス流行後に国の経済的利益が優先されるようになり、UAEとサウジの同盟関係は限界に達しているという。

<共通の懸念>

UAE・サウジ離反の兆しが最初に現れたのは2019年だ。当時、UAEはイエメンから国軍を引き揚げ、サウジは自国の安全保障にとって直接脅威となる負担の重い戦争に取り残された。

サウジなどは今年1月にカタールとの国交を回復したが、ここでもUAEはサウジの足を引っ張った。

一方でUAEは昨年、イスラエルとの国交を正常化し、トルコとの関係改善に「二の足を踏む」サウジとは対照的な動きを見せている。

しかし、UAEとサウジはともに、中東地域におけるイランの影響力拡大を懸念するという点で結ばれている。イランの脅威は、両国の経済的野心にとってリスクとなる。

UAEは2019年、ペルシャ湾のタンカーやサウジの石油施設が攻撃を受けた後、緊張緩和のために対イラン交渉に乗り出した。サウジはこうした攻撃にイランが関与していると批判し、イランは関与を否定している。

サウジも今年に入って、イエメン問題を巡りイランとの直接的な話し合いを開始した。こうした中、米国はイラン核合意の復活を模索している。

テリマーの株式戦略部門の責任者、ハスナイン・マリク氏は「米・イラン関係の緊張緩和が進む可能性、クリーンエネルギーへの移行、石油依存脱却・経済多様化を巡る競争などの要因により、両国は現在、特に強い離反の試練にさらされている」と指摘した。

サウジ・ナショナル銀のカーン氏によると、多額の投資を行って石油生産能力を拡大してきたUAEは、世界の化石燃料脱却が進むのを見据え、素早く石油資源を換金したいと願っている。

一方のサウジは、主に政府系ファンドを原資とする国内の大規模プロジェクトを実行するため、石油価格を安定させる必要性の方が大きい。

© Reuters.   7月5日、石油輸出国機構(OPEC)の減産協議はアラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアの対立が表面化する異例の展開となり、中東の2大国の経済を巡る競り合いの激化が浮き彫りになった。写真は2019年11月、アブダビの空港でサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(左)を出迎えるムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン・アブダビ皇太子。提供写真(2021年 ロイター/WAM)

サウジの外交筋は、減産協議を巡るUAEとサウジの対立について「真っ向からぶつかり合っており、UAEが格上の相手にパンチを繰り出している」と述べた。「両国が公の場で、強い口調で非難の応酬を繰り広げるのは初めてだ」という。

一方、英国の中東問題専門家、クリストファー・デビッドソン氏は、UAEとサウジは経済問題ではさらに対立が露わになるかもしれないが、結束しているイメージを保つために政治問題では、もっと控えめな対応を取り続けるだろうと分析した。

(Ghaida Ghantous記者 Marwa Rashad)

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