[ジャカルタ 16日 ロイター] - インドネシアのジョコ大統領は16日、国会で財政方針演説を行い、総額2708兆7000億ルピア(約1883億ドル)の2022年予算案を提示した。予算総額は今年より0.4%増加するものの、成長率見通しを高く掲げているため、財政赤字比率は縮小する見込みとなっている。
2022年の経済成長率は5─5.5%に設定。21年は3.7─4.5%だった。
財政赤字の対国内総生産(GDP)比率予想は4.85%で、今年の予想5.82%から低下する見通しとなっている。
ジョコ大統領は、22年予算案は財政赤字を23年に3%以下に抑えるための基盤となることを意味すると述べた。
また、22年予算案のテーマは新型コロナウイルス禍からの景気回復の加速、構造改革の強化、新型コロナの封じ込めだと発言。「あらゆる資源を活用して、新型コロナを封じ込めていく」と述べた。
ペルマタ銀行のエコノミスト、Josua Pardede氏は、ワクチン接種が進まず、感染が再拡大した場合、経済成長目標に下振れリスクがあると指摘。
「2023年の財政赤字は3%を下回らないだろう。利払い費が依然として重く、税収で大幅に相殺できないためだ」と述べた。
格付け会社は、財政規律が緩めば、格付けに影響が出る可能性があると指摘している。
ザ・センター・フォー・エコノミック・アンド・ロー・スタディーズのディレクター、Bhima Yudhistira氏は、予算案の前提条件に「一貫性がなく、非現実的」だと分析。米連邦準備理事会(FRB)が資産買い入れの縮小に踏み切るとみられているにもかかわらず、ルピアの想定レートは1ドル=1万4350ルピア、10年債利回りの想定レートも6.82%と、現在の水準に近いと指摘した。
22年予算案では、新型コロナの検査・追跡・治療・ワクチンなど医療分野に255兆3000億ルピアを支出。福祉に427兆5000億ルピア、インフラに384兆8000億ルピアを支出する。
歳入は6%増を目指す。国会では一部の増税案が審議されているが、大統領は税制には触れなかった。
22年の財政赤字を穴埋めするため、991兆3000億ルピアの国債を発行する(借り換え、買い戻し、短期国債を除く)。
国会は9月下旬か10月初旬に予算案を採決する見通し。