[ヒューストン 2日 ロイター] - 先週末にハリケーン「アイダ」が襲った米メキシコ湾岸の石油施設では2日、稼働再開に向けた作業が続けられた。被害状況が明らかになる中、ホワイトハウスは原油の緊急備蓄の放出を承認した。
アイダの風速は時速240キロに達し、米エネルギーインフラを直撃した。エネルギー各社は、航空調査や沖合施設への作業員復帰が進まず、メキシコ湾岸の石油ガス生産は、大半が停止したままだ。陸上のターミナルや基地への被害が作業を遅らせている。
米安全環境執行局(BSEE)によると、先週退避が行われた288のプラットフォームのうち、生産を再開できる人員が戻ったのは4分の1にとどまっている。ロイヤル・ダッチ・シェルは、洋上生産の80%がなお停止中とし、航空調査でプラットフォーム1基に損傷が見つかったと明らかにした。
こうした中、バイデン大統領は、ガソリン供給を維持するため、戦略石油備蓄の放出を含むあらゆる手段を講じるようエネルギー省に指示。これを受けて同省は、エクソンモービルのバトンルージュ製油所でのガソリン生産向けに、米緊急備蓄から150万バレルの原油を放出すると発表した。
米メキシコ湾岸の洋上原油生産は、米国の1日当たりの生産量の約16%を占める。だが、作業員が自宅の被害への対応に追われているほか、ヘリコプター運航会社は燃料調達が難しくなっており、生産再開に向けた作業が遅れている。
2日時点で、同地域の生産量の94%に当たる日量170万バレルの原油と、同91%に当たる20億立方フィートの天然ガス生産が停止している。
ルイジアナ州南東部では、マラソン・ペトロリアム、フィリップ66、バレロ・エナジー、PBFエナジーの製油所が被害を受けた。
停電や断水の影響で、ガソリンなど自動車燃料を生産する7つの製油所は、最長4週間にわたり稼働停止が続く可能性がある。