[ウィーン 12日 ロイター] - 国際原子力機関(IAEA)は12日、イラン核施設に設置された監視カメラによる記録を継続させることで同国と合意した。これにより、西側諸国との核合意を巡る協議再開への期待も高まった。
IAEAのグロッシ事務局長がイランを訪問して合意を取り付けた。IAEAは今週、35カ国による理事会を開く予定で、西側諸国はIAEAに協力しないイランへの非難決議を求める可能性を示唆していた。
非難決議が採択されれば、イランとの溝が深まり、2015年核合意の再建を巡るイランと米国の間接協議再開が遠ざかる可能性もあった。
グロッシ氏はイラン訪問後にウィーンの空港で記者団に対し、監視カメラの記録継続で合意したことについて「これは恒久的な解決策ではない。少なくとも私にとっては、外交の時間を確保する一時的な措置だ」と述べた。
その上で「昨日まで直面していた、情報の喪失という最も緊急の問題を是正できた」と続けた。
核合意を巡る協議の調整役を務める欧州連合(EU)の欧州対外活動庁のモラ事務局次長はツイッターへの投稿で、IAEAとイランの今回の合意は「外交の余地を与える」ものだとし、早期の協議再開が重要との認識を示した。
イラン核施設に設置された監視カメラは、途切れなく記録を継続するために3カ月おきに保守作業を行う必要があるが、2週間以上前に3カ月が経過していた。
グロッシ氏によると、保守作業は数日中に開始され、6月に破壊や撤去が行われたとみられるカメラも新たな機材に交換されるという。
イランを巡っては、未申告の施設でウランの痕跡が検出された件についてIAEAへの説明を行っていない未解決の問題もある。グロッシ氏は近くイランを再訪問し、「最高レベルの当局者」と協議する見通しだと述べた。