[ベルリン 26日 ロイター] - ドイツ連邦議会選挙(総選挙)が26日投開票された。ZDFテレビによると、中道左派の社会民主党(SPD)が得票率26.0%と、メルケル首相所属の保守連合、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の24.5%を上回り、かろうじて第1党になる見通しだ。
ただ、双方とも自らが政権を主導する可能性があると主張している。
どちらの勢力も単独では過半数に届かず、過去4年間の「大連立」を繰り返すことに消極的であることを踏まえると、SPDかCDU・CSUが主導する3党連合となる可能性が最も高い。
新たな連立政権での合意には数カ月かかる可能性があり、緑の党、自由民主党(FDP)が関与する見通しだ。
SPDの次期首相候補であるショルツ財務相は選挙後の他候補とのラウンドテーブルで「われわれは現在、全ての調査でリードしている」と指摘。
2005年以来初めて政権を主導し、16年に及ぶメルケル首相による保守政権に終止符を打つよう国民から「明確な負託」を得たと述べた。
SPDはわずか3カ月で支持率を約10ポイント回復し、前回2017年の選挙での得票率20.5%を上回る見通しだ。
一方、CDU・CSUのラシェット党首は「第1党が常に首相を出してきたわけではない。全てのパートナーが関与し、首相だけではなく誰もが輝く政府を望む」と述べ、小規模政党にアピールする姿勢をうかがわせた。
今後の焦点は連立交渉となるが、協議は数カ月続く可能性がある。
ショルツ、ラシェット両氏はクリスマスまでの連立合意を目指す意向を示している。
2005年の首相就任以来、欧州の舞台で大きな存在感を示してきたメルケル氏は選挙後に引退する予定。
バイデン米大統領はワシントンでの記者会見で、SPDが僅差でリードしている状況について、驚きを示した。
政治リスクコンサルタント会社ユーラシアのナズ・マスラフ氏は「かなり弱い首相が誕生し、欧州連合(EU)レベルで野心的な財政改革の推進に苦闘することになるだろう」と述べた。
連立政権がどのような形になるとしても、同盟国の間では他の欧州諸国で存在感を増すポピュリズム政党が躍進に失敗したことに安心感が広がるとみられる。
ZDFによると、極右「ドイツのための選択肢(AfD)」の得票率は10.5%と4年前の12.6%を下回る見通し。