[ロンドン 28日 ロイター] - 英蘭系石油会社ロイヤル・ダッチ・シェルは28日、ヘッジファンドの米サード・ポイントによる会社分割要求に対し、分割するよりも一体として事業運営するほうがうまくいくと反論した。
「物言う株主」として知られるサード・ポイントはシェルの株式を取得。27日、大株主として業績向上を求め会社分割を提案した。
シェルのジェシカ・ウール最高財務責任者(CFO)は28日、記者団に対し、「会社分割は財務面からは実に興味深く思える」と指摘。しかし、「実際のソリューションとしては」事業を一体化して運営することでエネルギー移行で独自性を打ち出すことができるとの考えを示した。
バンブルーデン最高経営責任者(CEO)は記者団に対し、シェルの戦略は一致団結であり、株主の大半にはよく理解してもらっていると述べた。
28日にサード・ポイントを率いるダニエル・ローブ氏にコメントを求めたが、回答を得られなかった。
リフィニティブのデータによると、過去2年間でシェル株のトータルリターンはマイナス16%。米石油メジャーのエクソンモービルやシェブロンに見劣りしている。ただ、より長期の期間ではシェルやその他欧州企業は排出削減や再生可能投資に比較的消極的だった米競合社をアウトパフォームしている。
機関投資家や企業と協力する非営利組織「Ceres」の石油・ガス担当シニアディレクター、アンドリュー・ローガン氏は「少なくとも、サード・ポイントの要求は全ての事業を内部に抱えることの価値を投資業界に納得させていないことを示唆している」と語った。
一方、リフィニティブのデータでシェルのトップ10株主の一角を占めている英Abrdnの投資ディレクター、Iain Pyle氏は、企業を成長の速い事業と遅い事業に分割することは一定の「表計算論理」ではあるとしつつ、おそらくローブ氏の提案を支持しないだろうと表明。同氏は「シェルほど各部門が連動して織り込まれている企業はほとんどないのではないか」とし、「上流部門がトレーディング事業につながり、精製事業につながり、化学工場につながり、小売部門につながっており、それをバラバラにするのは非常に難しい」と述べた。