[シンガポール 31日 ロイター] - 2021年は発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)や石炭が主導する形で、エネルギーや金属、農産品など幅広い商品(コモディティー)価格が急騰した。
アナリストや取引業者によると、22年も世界の商品需要は堅調を維持して相場を支える見通しだが、前年ほどの大幅高にはならない見込みという。
OANDAのシニアアナリスト、ジェフリー・ハレー氏は「20年のコモディティー相場反転と21年の急騰は例外的な2年となるだろう。それ故、今後1年について同様の上昇は想定していない」と述べた。
21年は供給逼迫と、新型コロナウイルスワクチン普及による景気の急回復を背景に、エネルギーと食品価格が急騰し、中国から欧州に至る各国の電力会社や消費者が打撃を受け、インフレ圧力が増した。
価格の高止まりは増産の後押しになっているが、石油・LNG開発事業は稼働まで数年を要するため供給逼迫は続くと一部のアナリストは予想する。
<エネルギー>
石炭と天然ガスの過去最高値更新を受け、欧州やインド、中国は21年に深刻な電力不足に陥った。
アジアのLNG価格は200%超の急騰を演じ、アジアで指標となる石炭価格は2倍に跳ね上がった。
ウッドマッケンジーのアジアガス・LNG調査部門責任者、バレリー・チョウ氏は「世界のLNG需要は通年で2000万トン増加し、アジアが増加分のほぼ全部を占めた」と分析。中国では需要が20%強増え、日本を抜いて世界最大の輸入国になったという。
「ただ、LNGスポット価格の長期的な高止まりが需要の伸びを抑え始める公算が大きい。とりわけ価格に敏感な南アジア、東南アジアの市場でそうなるだろう」とした。
国際的な原油価格は21年に50─60%戻した。航空機用のジェット燃料の需要回復を背景に、22年も上昇を続ける見通し。
中国で石炭価格は10月に過去最高値を付けたが、その後は増産による価格抑制策が響き、半分以下に下げた。
<金属>
中国と欧州の電力不足でアルミニウム生産が悪影響を受け、アルミ価格は40%強上昇。2年連続の上昇となった。
鉄鉱石価格は5月に過去最高値を付けたが、中国の鉄鋼生産抑制策により下期は急落し、中国・大連市場の鉄鉱石先物価格 は年間で10%超下げた。
アナリストによると、ベースメタルはエネルギー転換による需要増で堅調さが際立つとみられる。ただ、供給制約は残る可能性がある。
ロンドン金属取引所(LME)の銅先物は21年に約25%値を上げ、3年連続の上昇となった。
<農産品>
米シカゴ市場の大豆先物は3年連続上昇し、トウモロコシ先物は25%近く、小麦先物は20%超値を上げた。
天候不順による供給制約と堅調な需要が農産品相場を押し上げた。
マレーシア市場のパーム油と大豆油は30%超上昇し、どちらも3年連騰となった。
アナリストは、投資家のリスク選好姿勢の強まりで株式やその他の市場に買いが入るため、貴金属価格は低迷する可能性があると予想。
金価格は21年通年でほぼ変わらずとなり、銀価格は下落した。