[パリ 14日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は14日、世界の電力需要が今後3年間増加する見通しで、構造改革が進まなければ、市場の不安定化や二酸化炭素(CO2)の大量排出につながるリスクがあるとの報告書をまとめた。
2021年の世界の電力需要は前年比で6%(1500テラワット時)増加。増加率は世界的な金融危機から回復した2010年以降で最高、増加量は過去最大となった。
増加量の約半分は中国の需要で、前年比10%増加した。
22─24年の需要は平均2.7%増加する見通し。ただ、新型コロナウイルスの流行やエネルギー価格の高騰で需要が伸び悩む可能性もあるという。
21年のCO2排出量は前年比7%増加し、過去最高となった。前年までの2年間は減少していたが、今後3年間は横ばい前後で推移する見通し。
中国、欧州、インドでは電力消費の増加に天然ガス・石炭の不足が重なり、電力価格が不安定になった。
主要卸売電力市場のIEA価格指数は21年に前年比で2倍近く上昇。16─20年の平均を64%上回った。欧州では21年第4・四半期の価格が15─20年の平均の4倍以上に達した。
日本とインドでも電力価格が大幅に上昇。米国は天然ガスの供給の混乱が少なく、大幅な価格上昇には見舞われなかった。
IEAのビロル事務局長は「近年の電力価格高騰は、世界中の多くの世帯・企業に問題を引き起こしており、社会的・政治的緊張の原因になりかねない」と指摘。
低炭素技術、再生可能エネルギー、原子力、エネルギー効率化、送電網の拡大への投資が解決策になるとしている。
21年は石炭火力発電が9%増と、需要増加分の半分以上を占め、過去最高を記録した。天然ガス価格の高騰で石炭の価格競争力が増した。
再生可能エネルギー発電は6%増、ガス火力発電は2%増、原子力発電は3.5%増だった。