[ニューデリー 25日 ロイター] - インドのジャイシャンカル外相は25日、ニューデリーで中国の王毅外相と会談し、軍事的緊張が続く中印国境地帯から双方の部隊が撤退しない限り、両国関係の正常化は実現しないと訴えた。
印北部ラダック地方の国境係争地域では、2020年6月に両軍の兵士が衝突して死者が出て以来、両国とも数千人規模の部隊を配置してきた。一方、軍高官による緊張緩和に向けた交渉は、ほとんど進展していない。
ジャイシャンカル外相は会談後の記者会見で、中国側にはインドの国民感情を率直に伝えたと述べた上で「中国の20年4月以来の部隊配備に起因する衝突と緊張は、両国の正常な関係とは共存し得ない」と強調した。
王外相は声明で、両国は世界各地で平和と安定を推進するために協力する必要がある述べ、国境問題は2国間関係の「適切な位置」において、関係発展の正しい方向性を堅持すべきだとした。中国は「一極集中的なアジア」は追求しておらず、インドのアジアにおける伝統的役割を尊重するとの立場を示した。
インド側が、中国が係争地から部隊を撤退した場合に、同様の措置を取ると提案したかどうかは不明。
中国外務省は26日にも声明を出し、王外相が国境問題について、できる限り早期に緊急対応から通常運用に移行するよう呼び掛けたと説明。残る争点の解決を急ぎ、地上での状況に適切に対応し、誤解や誤算を回避することで双方が合意したと付け加えた。