■業績動向
1. 2021年12月期の業績概要
エリアリンク (T:8914)の2021年12月期業績は、売上高20,572百万円(前期比8.5%減)、営業利益3,044百万円(同33.8%増)、経常利益3,009百万円(同39.2%増)、当期純利益3,171百万円(同42.5%増)となった。
また、期初予想に対しては、売上高・各利益ともに上回って着地した。
土地権利整備事業が低調に推移した影響を受けて減収となったものの、主力のストレージ運用は増収を継続した。
利益面では、ストレージ運用の稼働率が上場来最高値を更新するなどストレージ運用が好調に推移した結果、2ケタ増益となった。
なお、2019年12月期に計上した買戻損失引当金のうち、買い戻しが実現しなかったコンテナに対する引当金を取り崩すことによる買戻損失引当金戻入益1,610百万円を特別利益に計上したことから、当期純利益は営業利益及び経常利益を上回る大幅な増益となった。
コロナ禍の影響については、経済状況悪化によりトランクルームの解約が発生したものの、リモートワークが増加したことにより自宅整理の動きもあるなど、ストレージ事業にとってプラスに働いた側面もあったようだ。
事業セグメント別の業績は以下のとおりである。
(1) ストレージ事業
売上高は15,469百万円(前期比4.7%増)、セグメント利益は3,415百万円(同56.3%増)と好調に推移した。
また、同事業のシェアは売上高で75.2%(前期は65.7%)、セグメント利益で80.6%(同63.3%)となり、セグメント利益率は22.1%(同14.8%)とコア事業として大きく伸長した。
ストレージ事業では、2019年12月期より毎月収益が安定的に積み上がるストック型のストレージ運用を収益基盤とする方針を掲げており、この成果が現れたと言える。
同事業のうち、コア事業であるストレージ運用の売上高は14,941百万円(前期比6.5%増)、セグメント利益は3,568百万円(同52.9%増)となった。
売上高は上場以来18期連続増収となったほか、セグメント利益率が同7.3ポイント改善したことにより、大幅な増益となった。
2020年に出店活動を一時停止した影響で2021年の出店室数が前期比で減少したことに加え、毎年定期的に発生する閉店等により、総室数は前期末比101室減の97,784室となった。
一方で、2016年から2018年にかけて出店した大型物件の稼働率が時間をかけて上昇したことに加え、2019年以降の出店精度向上により新規物件の稼働率が高まったことが、全体の稼働率上昇に大きく寄与した。
この結果、稼働率が前期末比5.20ポイント上昇し85.86%となり、2003年の上場来最高値を記録した。
さらに、2020年から約2年にわたり進めてきたコンテナの買戻しによる利益率改善効果に加え、2018年12月期決算に計上した転貸損失引当金について稼働率の上昇及び自社出店への方針転換に伴う戻入れが発生したこともあり、大幅な増益を記録した。
一方、投資家への販売による「一過性」の収益比率を下げたことにより、ストレージ流動化の売上高は528百万円(同29.2%減)、セグメント損失は152百万円(前期は148百万円の損失)となった。
(2) 土地権利整備事業
売上高は3,716百万円(前期比38.7%減)、セグメント利益は442百万円(同49.3%減)となった。
また、同事業のシェアは、売上高で18.1%(前期は27.0%)、セグメント利益で10.4%(同25.3%)となり、セグメント利益率は11.9%(同14.4%)であった。
「量から質」を重視した方針へ切り替え、事業規模の最適化を図る取り組みを推進した。
(3) その他運用サービス事業
売上高は1,385百万円(前期比15.5%減)、セグメント利益は382百万円(同3.5%減)となった。
また、同事業のシェアは、売上高で6.7%(前期は7.3%)、セグメント利益で9.0%(同11.5%)となり、セグメント利益率は27.6%(同24.2%)であった。
アセット事業は、コロナ禍の影響を受けた一部テナントの賃料減額を継続している影響で減収減益となったものの、高稼働を維持した。
オフィス事業は、2021年4月の新規物件オープンの出店費用の影響があったものの、稼働状況は堅調に推移したため増収減益となった。
なお、貸会議室事業については、経営資源を主力事業に集中する観点から2020年12月をもって事業撤退している。
2. 財務状況と経営指標
2021年12月期末の流動資産は、前期末比1,372百万円増加し17,319百万円となった。
これは主として販売用不動産、仕掛販売用不動産が1,315百万円減少した一方、現金及び預金が3,663百万円増加したこと等による。
固定資産は同126百万円増加し24,882百万円となった。
これは主としてコンテナの買取り等の影響により、工具、器具及び備品が1,065百万円増加したこと等による。
この結果、資産合計は同1,499百万円増加し42,202百万円となった。
流動負債は、前期末比917百万円減少し5,867百万円となった。
これは主として未払法人税等が557百万円増加した一方、買戻損失引当金が2,297百万円減少したこと等による。
固定負債は同406百万円減少し15,371百万円となった。
これは主としてリース債務が280百万円、社債が157百万円減少したこと等による。
この結果、負債合計は同1,324百万円減少し21,239百万円となった。
純資産合計は、前期末比2,823百万円増加し20,963百万円となった。
これは主として繰越利益剰余金が2,780百万円増加したこと等による。
以上の結果、有利子負債は前期比433百万円減少し11,944百万円となった。
また、自己資本比率は前期の44.6%から49.7%へと大きく改善した。
2021年3月期東証1部の不動産業平均の32.3%を大きく上回っていることからも、高い安全性を確保していると評価できるうえ、同社が目標とする50%にも着実に近づいている。
加えて収益性においても、ROA7.3%、ROE16.2%と、2021年3月期東証1部不動産業平均の3.1%、6.6%をそれぞれ上回っている。
2021年12月期の現金及び現金同等物は前期末比3,663百万円増加し、期末残高は13,440百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは5,741百万円の収入となった。
主な収入は税引前当期純利益4,519百万円、たな卸資産の減少額1,476百万円、減価償却費計上額879百万円等で、主な支出は買戻損失引当金の減少2,297百万円、法人税等の支払額236百万円等であった。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,264百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出額1,822百万円等による。
財務活動によるキャッシュ・フローは825百万円の支出となった。
主な収入は長期借入れによる収入2,001百万円で、主な支出は長期借入金の返済による支出額2,363百万円等であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
1. 2021年12月期の業績概要
エリアリンク (T:8914)の2021年12月期業績は、売上高20,572百万円(前期比8.5%減)、営業利益3,044百万円(同33.8%増)、経常利益3,009百万円(同39.2%増)、当期純利益3,171百万円(同42.5%増)となった。
また、期初予想に対しては、売上高・各利益ともに上回って着地した。
土地権利整備事業が低調に推移した影響を受けて減収となったものの、主力のストレージ運用は増収を継続した。
利益面では、ストレージ運用の稼働率が上場来最高値を更新するなどストレージ運用が好調に推移した結果、2ケタ増益となった。
なお、2019年12月期に計上した買戻損失引当金のうち、買い戻しが実現しなかったコンテナに対する引当金を取り崩すことによる買戻損失引当金戻入益1,610百万円を特別利益に計上したことから、当期純利益は営業利益及び経常利益を上回る大幅な増益となった。
コロナ禍の影響については、経済状況悪化によりトランクルームの解約が発生したものの、リモートワークが増加したことにより自宅整理の動きもあるなど、ストレージ事業にとってプラスに働いた側面もあったようだ。
事業セグメント別の業績は以下のとおりである。
(1) ストレージ事業
売上高は15,469百万円(前期比4.7%増)、セグメント利益は3,415百万円(同56.3%増)と好調に推移した。
また、同事業のシェアは売上高で75.2%(前期は65.7%)、セグメント利益で80.6%(同63.3%)となり、セグメント利益率は22.1%(同14.8%)とコア事業として大きく伸長した。
ストレージ事業では、2019年12月期より毎月収益が安定的に積み上がるストック型のストレージ運用を収益基盤とする方針を掲げており、この成果が現れたと言える。
同事業のうち、コア事業であるストレージ運用の売上高は14,941百万円(前期比6.5%増)、セグメント利益は3,568百万円(同52.9%増)となった。
売上高は上場以来18期連続増収となったほか、セグメント利益率が同7.3ポイント改善したことにより、大幅な増益となった。
2020年に出店活動を一時停止した影響で2021年の出店室数が前期比で減少したことに加え、毎年定期的に発生する閉店等により、総室数は前期末比101室減の97,784室となった。
一方で、2016年から2018年にかけて出店した大型物件の稼働率が時間をかけて上昇したことに加え、2019年以降の出店精度向上により新規物件の稼働率が高まったことが、全体の稼働率上昇に大きく寄与した。
この結果、稼働率が前期末比5.20ポイント上昇し85.86%となり、2003年の上場来最高値を記録した。
さらに、2020年から約2年にわたり進めてきたコンテナの買戻しによる利益率改善効果に加え、2018年12月期決算に計上した転貸損失引当金について稼働率の上昇及び自社出店への方針転換に伴う戻入れが発生したこともあり、大幅な増益を記録した。
一方、投資家への販売による「一過性」の収益比率を下げたことにより、ストレージ流動化の売上高は528百万円(同29.2%減)、セグメント損失は152百万円(前期は148百万円の損失)となった。
(2) 土地権利整備事業
売上高は3,716百万円(前期比38.7%減)、セグメント利益は442百万円(同49.3%減)となった。
また、同事業のシェアは、売上高で18.1%(前期は27.0%)、セグメント利益で10.4%(同25.3%)となり、セグメント利益率は11.9%(同14.4%)であった。
「量から質」を重視した方針へ切り替え、事業規模の最適化を図る取り組みを推進した。
(3) その他運用サービス事業
売上高は1,385百万円(前期比15.5%減)、セグメント利益は382百万円(同3.5%減)となった。
また、同事業のシェアは、売上高で6.7%(前期は7.3%)、セグメント利益で9.0%(同11.5%)となり、セグメント利益率は27.6%(同24.2%)であった。
アセット事業は、コロナ禍の影響を受けた一部テナントの賃料減額を継続している影響で減収減益となったものの、高稼働を維持した。
オフィス事業は、2021年4月の新規物件オープンの出店費用の影響があったものの、稼働状況は堅調に推移したため増収減益となった。
なお、貸会議室事業については、経営資源を主力事業に集中する観点から2020年12月をもって事業撤退している。
2. 財務状況と経営指標
2021年12月期末の流動資産は、前期末比1,372百万円増加し17,319百万円となった。
これは主として販売用不動産、仕掛販売用不動産が1,315百万円減少した一方、現金及び預金が3,663百万円増加したこと等による。
固定資産は同126百万円増加し24,882百万円となった。
これは主としてコンテナの買取り等の影響により、工具、器具及び備品が1,065百万円増加したこと等による。
この結果、資産合計は同1,499百万円増加し42,202百万円となった。
流動負債は、前期末比917百万円減少し5,867百万円となった。
これは主として未払法人税等が557百万円増加した一方、買戻損失引当金が2,297百万円減少したこと等による。
固定負債は同406百万円減少し15,371百万円となった。
これは主としてリース債務が280百万円、社債が157百万円減少したこと等による。
この結果、負債合計は同1,324百万円減少し21,239百万円となった。
純資産合計は、前期末比2,823百万円増加し20,963百万円となった。
これは主として繰越利益剰余金が2,780百万円増加したこと等による。
以上の結果、有利子負債は前期比433百万円減少し11,944百万円となった。
また、自己資本比率は前期の44.6%から49.7%へと大きく改善した。
2021年3月期東証1部の不動産業平均の32.3%を大きく上回っていることからも、高い安全性を確保していると評価できるうえ、同社が目標とする50%にも着実に近づいている。
加えて収益性においても、ROA7.3%、ROE16.2%と、2021年3月期東証1部不動産業平均の3.1%、6.6%をそれぞれ上回っている。
2021年12月期の現金及び現金同等物は前期末比3,663百万円増加し、期末残高は13,440百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは5,741百万円の収入となった。
主な収入は税引前当期純利益4,519百万円、たな卸資産の減少額1,476百万円、減価償却費計上額879百万円等で、主な支出は買戻損失引当金の減少2,297百万円、法人税等の支払額236百万円等であった。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,264百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出額1,822百万円等による。
財務活動によるキャッシュ・フローは825百万円の支出となった。
主な収入は長期借入れによる収入2,001百万円で、主な支出は長期借入金の返済による支出額2,363百万円等であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)