[ブリュッセル 2日 ロイター] - 欧州連合(EU)独禁当局は2日、米アップルがモバイル決済「アップルペイ」の技術を巡り独占的地位を乱用した反競争的行為があったとの暫定見解を示した。反競争的行為が正式に認定されれば世界売上高の最大10%の罰金が科される可能性がある。
欧州委員会は、アップルペイで使われるNFC技術へのアクセスを制限したとする異議告知書をアップルに送付した。反競争的行為はアップルペイのサービスを開始した2015年からあったとしている。
ベステアー委員(競争政策担当)は声明で「アップルが、ライバル会社がアップル端末でモバイル・ウォレット機能を開発するのに必要な技術へのアクセスを制限したことを示唆する材料を有している。異議告知書で、アップルが『アップルペイ』が優位になるよう競争を制限した可能性があるとの暫定見解を示した」と述べた。
異議告知書は正式決定ではなく、受領した企業は説明や反論ができる。正式決定には1年かそれ以上要する可能性がある。
アップルは引き続き欧州委と協議する方針を示し「アップルペイは欧州の消費者にとって多くの決済手段の一つに過ぎない。プライバシーやセキュリティーで業界トップの基準を設定しつつ、NFCへの平等なアクセスを確保している」と説明した。
ベステアー委員はアップルの説明に対し「われわれのこれまでの調査では、そのような高いセキュリティーリスクを示す証拠は見つからなかった。逆にアップルの行為がセキュリティー上の懸念で正当化できないことを示唆されている」と述べた。