[ワルシャワ 12日 ロイター] - 米国のケリー米大統領特使(気候変動問題担当)は、ロシア産ガスの供給減少で欧州が石炭回帰を余儀なくされている中でも、炭素の排出量を減らす欧州連合(EU)の努力が後回しになってはならないとの見解を示した。
ロシアからのガス供給が減り、完全に停止する恐れもある中、複数のEU加盟国は冬に備えて石炭火力発電に回帰しようとしている。ドイツ、イタリア、オーストリア、オランダは、欧州大陸がこの危機を乗り越えるには石炭火力発電が支えになるとの見方を示している。
ケリー氏はポーランドのワルシャワでロイターとのインタビューに応じ、「(ウクライナ)戦争は、常に戦争がそうであるように、いくつかの極めて困難な矛盾をもたらしている」と指摘。「経済を動かして政治の安定を確保するために、再生可能(エネルギー)を拡充する一方で、一時的に石炭をある程度使用しなければならないといった状況かもしれない」と語った。
その上でケリー氏は、「戦争が起きたからといっていきなり気候変動対策が脇に置かれることにはならない。気候変動危機が止まるわけではない」と述べた。