[メキシコ市 20日 ロイター] - メキシコの左派ロペスオブラドール大統領は20日の定例記者会見で、政府が推進するエネルギー政策に米国が苦情を申し立てていることについて、「メキシコ政府は何も悪いことはしていない」と反論した。
米通商代表部(USTR)はメキシコ政府に対し、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づく紛争解決のための協議を要請。メキシコの国営電力会社CFEと国営石油ペメックスに対する優遇措置で米企業が痛手を受けている点を問題視している。カナダも米国の要請を支持すると表明している。
これに対しロペスオブラドール氏は、自身のエネルギー政策はUSMCAに違反していないと主張。米国の不満には「論点ごとに」回答していくと約束しつつも「われわれは公益に沿って行動しており、(富を)盗むことが得意で貪欲な企業から国民を守っている」と語った。
ロペスオブラドール氏のエネルギー政策を巡っては、民間投資家を犠牲にする形で国営企業の力を強化しているとの懸念が海外から出ている。メキシコ政府の講じてきた措置は消費者のためになっているというのがロペスオブラドール氏の言い分だが、コスト増や投資抑制などの弊害を招いているとの批判も聞かれる。
ロペスオブラドール氏はUSTRの協議要請について、米国側にとっての懸念というよりも、メキシコ国内の(反左派である)反対勢力の言い分という面が実際には大きいと主張。「今回の件も、今まで盗みや略奪がお手の物だった超保守派に関する事案と言える。彼らは自分たちが国を所有していると考えていたからだ」と批判した。
ロペスオブラドー氏と対立する勢力は再生可能エネルギー事業の強化も提唱しており、政府のペメックスとCFE優遇によって再生可能エネルギー企業が不利益を受けていると訴えている。これについても同氏は、「クリーンエネルギーを利用して自らの汚いビジネスに役立てようとする理屈は成り立たない」と述べた。