[ロンドン 1日 ロイター] - 今年これまでの原油価格は、世界的な景気後退(リセッション)懸念という逆風にも負けず、主要株式やドルをアウトパフォームしている。
リフィニティブのアイコンのデータに基づくと、原油先物の主な2つの限月は年初来でおよそ30%上昇した半面、MSCIが算出する世界株指数(オール・カントリー・ワールド・インデックス=ACWI)はおよそ15%下落した。
物価上昇率が40年ぶりの高い伸びを記録し、各国の中央銀行が利上げに動いたことが響き、ACWIは上半期として1990年の導入以来最大の下落率となった。
主要6通貨に対するドル指数の年初来上昇率は10%前後だ。
UBSのアナリスト、ジョバンニ・スタウノボ氏は「低調な在庫と生産余力減少が原油高をけん引している」と指摘した。
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国でつくる「OPECプラス」の産油量は、過去2年のほとんどの期間で合意目標に届いていない。多くの加盟国が生産能力引き上げに苦戦を強いられているためで、6月の供給不足は日量約300万バレルと、世界の全供給量の3%程度になったことが、OPECプラスの内部データで確認できる。
MUFGは「需要が引き続き供給を上回る限り、コモディティーに対する強気の見方は維持される」と述べた。
OANDAのアナリスト、クレイグ・アーラム氏は、物価高騰につながっている原油価格の動きを含めて、株式にはさまざまな出来事がマイナスの影響を及ぼしていると分析した。
ただJPモルガンは、原油市場はまだリセッションを織り込んでいないと警告した上で、過去の動きを見ると世界経済がプラス成長を保っている間は原油需要も下支えされるが、全てのリセッションにおいて原油価格は30─40%下がる傾向があると付け加えた。