[ワシントン 21日 ロイター] - 米環境保護局(EPA)は、議会で8月に「インフレ抑制法」が成立したことから、既に提案していた大型ピックアップトラックの温室効果ガス排出量規制案について、基準をより厳格化する修正を検討する方針だ。EPA幹部がロイターに明かした。12月に内容補足の形で発表するという。
EPAは3月、大型ピックアップトラックの大気汚染や排出量削減を義務付ける規則案を公表。その後「インフレ抑制法」が成立し、同法には電動大型ピックアップトラック普及加速に向けた販売奨励策が盛り込まれた。非営利団体RMIによると、同法に基づく税控除は中大型の電動ピックアップトラックの導入を大きく加速させる効果がある。電動トラックの運用コストの方がディーゼルエンジンのトラックよりもほとんどの場合で安くなるという。
EPAの考えも同様だ。同局の場合は提案で2027年型から29年型のトラックを対象にすることにより、この時期に無排出車(ゼロエミッション車)の普及率が大幅に拡大ることを狙っている。EPA大気放射線部門の幹部ジョセフ・ゴフマン氏は「ここにきてインフレ抑制法という大きな変化要因の追い風が出てきた。議会が、大がかりな財源に裏付けられた極めて強いメッセージを明確に送ってくれた」とロイターに述べた。
EPAは今年3月時点でも、新規則の全面的適用で大型ピックアップトラックの排出量が最大24─25%減少するとの見積りを提示。ただ、環境団体はこれよりもっと踏み込むことを強く要望していた。
米国ではカリフォルニア州大気資源局(CARB)が来月、無排出トラックの配備を24年から義務付ける新規則を検討する。さらから40年からの中大型の内燃エンジン搭載ピックアップトラックの州内での新規販売禁止に向けて、規則で明確に期限を定めていく意向だ。