[4日 ロイター] - 米石油業界団体が4日、バイデン政権に対して物価押し下げのための燃料輸出制限を検討しないよう強く要望する書簡を送ったことが、ロイターの取材で分かった。
書簡はグランホルム・エネルギー長官宛てで、米国石油協会(API)と米国燃料石油化学製造業者協会(AFPM)が「重大な懸念」を訴えている。
バイデン大統領は、エネルギー価格が主導する消費者物価高騰を抑えることを最優先の政策課題に掲げており、ガソリンが最高値を更新する中で石油会社が利益を膨らませていると繰り返し非難してきた。ガソリンは数週間下落した後、足元で再び値上がりし始めたため、11月の中間選挙を控えてバイデン氏も業界への厳しい態度を続けている。
米国の燃料輸出を制限して国内のエネルギー価格を安定させよういう考えが最初に浮上したのは数カ月前で、当時石油業界は現実味に乏しいと一蹴していた。ただ今回改めて書簡を作成したことから、業界内にバイデン政権が本気で動くのではないかとの不安が強まっている様子がうかがえる。
8月にはグランホルム氏が製油業界宛ての書簡で、ガソリンと軽油の国内在庫を増やし、輸出を減らすよう要請。できなければ政権として「緊急措置」を講じる必要が出てくると警告した。
グランホルム氏とホワイトハウス高官らは9月30日にも、改めてこうした警告を発した。複数の政権幹部はこれまで、エネルギー輸出制限は「現時点では」検討していないとしつつも、将来的な実行は否定していない。
こうした中でAPIとAFPMの書簡は「石油製品の輸出を禁止もしくは制限すれば、(最終的に)在庫は減少し、国内精製能力を低下させ、消費者の燃料価格に上昇圧力がかかって、戦時下で米国の同盟国からも離反される公算が大きい。これらの理由から、われわれはバイデン政権がこの選択肢を議論の対象から外すよう求める」と記している。