[4日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国でつくる「OPECプラス」が大幅減産に合意しても、米シェール業界に原油やガスの増産を促すきっかけにはならない――。複数の業界幹部はロイターにこうした見方を示した。
OPECプラスは5日の会合で、場合によっては日量100万バレル超の減産を検討する見込み。実現すれば2020年の新型コロナウイルスのパンデミックで市況が急激に悪化して以降で最大の減産となる。
こうした減産が決まれば、OPECプラスがある程度の市場支配力を取り戻した証明になるだろう。一方、バイデン政権には燃料価格高騰への対応を求める声が一段と強まりそうだ。原油価格は6月1日以後で28%下がったが、ガソリンと軽油の価格は供給懸念を背景に再び上昇している。
しかし石油掘削企業パターソンのアンディ・ヘンドリクス最高経営責任者(CEO)は「(OPECプラスによる)減産の可能性を見据えて、『その穴埋めをする好機だ』と話している生産者は見聞きしたことがない」と述べた。
米国のシェール業界は、2016年の相場急落後迅速に立ち直った時期と比べて、今はより多くの制約がある。設備や人手が限られ、資金も足りず、投資家からはリターン向上を迫られており、これらが生産を抑える要因になっている。業界幹部は、OPECプラスが今週どんな決定を下しても、シェール業界が抱える制約は払拭されないと指摘した。
株式非公開の生産者なら株主からの圧力はないものの、サプライチェーン(供給網)に起因する問題や資金不足がやはり対応能力の足かせになるとみられる。
アンシュッツ・エクスプロレーションのジョセフ・ドミニクCEOは「われわれのポジションが上下どちらの方向にも変化するとは想定していない。これは来年の事業も含まれる」と語り、同社は既に来年の設備投資予算をほぼ決定しているので、OPECプラスの減産があっても影響は受けないと付け加えた。
エンタープライズ・オフショア・ドリリングのブラッド・ジェームズCEOは「米国の生産者にとってより多くの資金が使えるようになるまで、増産には四苦八苦する。今後もOPECが価格を支配する状況が続くだろう」と予想した。