[ロンドン 4日 ロイター] - サウジアラビアの国営石油サウジアラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は4日、「石油市場が石油供給のファンダメンタルズをきちんと注目していない」と述べ、世界的な石油増産余力が極めて低い現実に向き合っていないと批判した。ロンドンのエネルギー業界イベントで語った。
ナセル氏は市場が「世界のあちこちで景気後退が起きれば需要はどうなるかということばかり注目している」と指摘。世界の石油需要の1.5%程度の生産余力を引き上げるのはサウジアラムコだけの責任ではないと主張した。現状のその程度の生産余力は、中国がコロナ感染予防の制限措置をやめて経済を再開させれば使い尽くされてしまうとも警告した。
同じ会議で英石油大手シェルのベン・ファン・ブールデンCEOは、現在の石油価格が高くても、それをもって石油やガスの生産プロジェクトを稼働させ利益が出るようになるには数十年かかり得ると指摘。現在の高値が簡単に資本配分の変化につながるわけではないと主張した。シェルとしては脱石油・ガス化の全体的な戦略は維持していくとも表明した。