[ブリュッセル 13日 ロイター] - 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は13日、ロシアがウクライナで核兵器を使用すれば深刻な結果を招くと述べた。一方で、そうした事態になった場合のNATOの対応については明言しないとした。
ストルテンベルグ氏は、NATO国防相理事会後の会見で「プーチン氏の核のレトリックは危険で無謀だ。ロシアがウクライナに対して何らかの核兵器を使用すれば、深刻な結果を招く」とし、「こうした事態に対するNATOの具体的な対応については述べないが、極めて重要な一線を越えたことになり、紛争の本質が根本的に変わる。使用されるのが小規模な核兵器だったとしても、ウクライナ戦争の本質を変える極めて重大な動きになる」と述べた。
その上で、ロシアが独自の核関連の演習を実施する中、NATOは向こう数週間は高水準の警戒を続けると述べた。
ただ、NATOの核抑止力の基本的な目的は平和を維持し、同盟国に対する強制を防ぐことだと指摘。NATOが核兵器を使用せざるを得なくなるような状況は「極めて稀」との見方を示した。
NATOは来週、核抑止のための年次軍事演習を予定しており、NATO空軍が欧州にある米国の核爆弾の使用方法などの演習を行う。ストルテンベルグ氏は、ウクライナ戦争を理由に演習を取りやめれば「非常に誤ったシグナル」を送ることになると述べた。
NATO高官は12日、ロシアが核を使用すれば「ほぼ確実に物理的な反応」が引き起こされると指摘し、NATO側の報復もあり得るとの見方を示唆した。
オースティン米国防長官も会見でストルテンベルグ氏同様、ロシアの脅威を無謀で無責任だと批判。しかし、実際にロシアが核を使用した際の対応については明言しなかった。
欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は、ウクライナに対して核攻撃があれば、核による対応ではないものの、ロシア軍を全滅させるような軍事面での強力な対応を取ることになる、とけん制した。