[ロンドン 19日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は、世界で排出される化石燃料燃焼由来の二酸化炭素(CO2)は今年、1%弱の増加にとどまるとの見通しを示した。再生可能エネルギーと電気自動車(EV)の増加ペースが石炭需要を上回っているためという。
IEAのリポートは、今年のCO2排出量は3億トン増の338億トンの見通しで、昨年の約20億トン増から大きく縮小するとの予想を示した。
今年の増加をけん引しているのは発電のほか、旅行回復による航空機の運航。
ウクライナでの戦争に伴うガス価格上昇で石炭需要が各国で伸び、今年のCO2排出量は10億トンに達する可能性もあったが、再生可能エネルギーとEVの普及で排出量が抑制されたという。
IEAのビロル事務局長は、「ロシアのウクライナ侵攻で生じた世界的なエネルギー危機を受け、多くの国がロシアによる天然ガス供給停止に対応するため代替エネルギーの確保に奔走した。その結果、太陽光と風力発電がギャップの多くを埋め、石炭使用の増加は比較的小幅かつ一時的のように見える」と述べた。
IEAによると、太陽光と風力発電により今年の世界の再生可能エネルギー発電量は過去最大の700テラワット時以上増えた。それがなければ世界のCO2排出量は6億トン以上多くなっていたという。