[ワシントン 20日 ロイター] - 米政府は20日、ロシアがウクライナ攻撃でイラン製の無人機(ドローン)を使っていると断定し、イラン軍の訓練要員がウクライナ南部クリミアに入り、ロシア兵に無人機操縦の支援を行っていると非難した。
国務省のプライス報道官は、定例ブリーフィングで「クリミアを拠点とするロシア軍兵士がイラン製無人機を操縦し、数日にわたるキーウ(キエフ)攻撃を含めウクライナ全土に攻撃を実施したと確認した」と述べ「イラン軍兵士がクリミアに現地入りし、ロシアの作戦を支援した」との分析を示した。
「信頼できる情報がある」としたが、根拠は示さなかった。
また、ロシアがイランから地対空ミサイルなどの高度な通常兵器を入手しようとする可能性を懸念していると述べた。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、イランのロシアへの軍需品供与に対応するため、追加制裁を含めてあらゆる手段を検討すると述べた。また、ウクライナの防空体制強化も検討していると説明した。
「イランとロシアは、世界にうそをついても事実を隠すことはできない。イランが現地に入り直接関与しているという事実だ」と強調した。踏み込んだ説明はなかった。
イランはこれまで無人機供与を否定し、ロシアはウクライナ作戦でイラン製無人機を使ったことを否定している
欧州連合(EU)は、イランに対する新たな措置で合意したと発表。英国もイランのロシアへの無人機供与に関与したとされる軍幹部と企業に制裁を科した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍の集中攻撃で国内の発電所の約3割が破壊されたとしており、20日に午前7時から午後11時までの電力供給制限が敷かれた。
ロシア国防省は、再びウクライナのエネルギーインフラを標的にすると表明。今月にウクライナでの軍事作戦を統括する司令官に「アルマゲドン将軍」の異名をとるセルゲイ・スロビキン氏を任命して以来、全土の電力インフラを狙った攻撃を加速させている。
ゼレンスキー氏は20日のビデオ演説で、ロシアがウクライナ南部で大規模な惨事を引き起こす準備をしていると訴えたが、根拠は示さなかった。