[ロンドン 27日 ロイター] - 中国が主導する国際開発金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、現在の世界的なエネルギー危機の中でパニックに陥り、新たな化石燃料発電所の建設に乗り出さないよう各国政府に警告した。建設すれば数十年にわたり環境を破壊することになると訴えている。
AIIBの首席エコノミストの1人であるジャン・ピン・ティア氏は「われわれはこのパニックで重大な間違いを犯すべきではない」と指摘。「1年の危機で今後25─30年間を拘束してはならない」と述べた。
来月にエジプトで開かれる国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)を控え、AIIBが27日発表した年次インフラファイナンス報告書は、温室効果ガスを大量に排出する国有企業を早急にグリーンエネルギーの「リーダー」に転換すべきと訴えた。
特に中国、インド、インドネシアに言及。これらの国の協力なくして世界の実質排出ゼロ移行は成功しないと指摘した。
報告書は、汚染削減技術を世界的に共有し、各国に化石燃料への補助金を停止するよう求めている。
また、現在深刻な債務問題に直面している国々への支援も約束。スリランカ向け1億ドル基金の設立を表明しているほか、COP27では洪水被害を受けたパキスタンへの大規模な支援策を発表する予定だ。