[31日 ロイター] - エジプトのシャルムエルシェイクで11月6─18日開催の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)は、主要国の多くがロシアのウクライナ侵攻や食品・燃料高騰や経済成長停滞などの危機に気がそがれる中で、地球温暖化抑制に向けて参加国が迅速に野心的に動く決意を試される場となる。
バイデン米政権は今、国内外で石油や天然ガスの増産の呼びかけに必死だ。一方で専門家によると、中国が台湾問題で米国への反発を強め、ウクライナ侵攻を巡っても両国の足並みがそろわないことで、一大当事国の中国がCOP27で国際協調に消極的になる可能性も懸念される。
国連の先週発表の報告書によると、世界の大半の国は排出削減目標の歩みが遅れており、このままでは排出量は2030年までに10年比で10.6%増える見通し。科学者らは産業革命前に比べ地球温暖化を1.5度に抑える目標実現には、30年までに排出量の43%削減が必要になると指摘している。今年も異常気象は悪化し、パキスタンや南アフリカ、ナイジェリアは壊滅的な大洪水に見舞われ、欧州や北極地方さえも熱波が襲い、米西部やフランスも記録的な干ばつが生じた。
会議で議論されるとみられるのは、気候変動の原因を作ってきたと批判される先進諸国が災害で被害を受ける途上国や中進国にどのように「補償基金」の資金を拠出していくかや、世界銀行などの国際金融機関を世界の化石燃料脱却加速に向けてどう改革すべきかといった論点だ。
欧州諸国などがロシア産天然ガスに代わる供給源確保に奔走する中、天然ガスを巡る問題も焦点になる可能性がある。天然ガス資源を持つアフリカ諸国はこれまで、気候変動への配慮から天然ガス開発を抑えるよう圧力を受けてきた経緯があるからだ。
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