[ワシントン 6日 ロイター] - 米財務省高官は6日、ロシア産原油の上限価格を1バレル=60ドルに設定したことで西側諸国のロシアに対する影響力が拡大したとの認識を示した。また、上限を調整する際にはロシア経済や世界経済、原油市場の動向など、さまざまな要因が考慮されるとした。ロイターの取材に答えた。
主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)、オーストラリアは2日、ロシアへの追加制裁として同国産原油の上限価格を60ドルに設定することで合意。上限は5日に導入された。
上限は2カ月ごとに見直されることになっており、G7は来年1月中旬に見直しを開始する予定だが、同高官は調整時期について具体的な日程は未定だと述べた。
また、G7とオーストラリアは来年2月5日までに導入予定のロシアの精製石油製品に対する価格上限の設定に向け、今後数週間忙しくなるだろうと指摘。
「重要なのは60ドルという上限を設定できたことで、われわれがあらゆる影響力を持つようになったことだ」とし、「いかなる調整もG7、ウクライナ、世界経済の利益となり、ロシアの利益にはならない」と述べた。
ロシアのノバク副首相は上限設定は「重大な妨害行為」であり、上限の導入を阻止する仕組み作りに取り組んでいると述べている。
前出の高官は、ロシアがインドや中国などに輸出する原油全てを上限を超える価格で取引できるのかについて、財務省は「懐疑的」に見ていると述べた。
これとは別に、ローゼンバーグ財務次官補(テロ資金・金融犯罪担当)は上限設定について、インドや中国によるロシア原油の輸入継続を可能にしながらも大幅に低い価格でしか取引できないようにするという明確な狙いがあると説明。
ロシアは上限を設定する国への輸出を拒否するかもしれないが、そうすれば生産停止を余儀なくされ、収入を失い、中長期的な掘削・精製・貯蔵のためのインフラが劣化する可能性があると指摘。
「いずれにせよ、われわれはロシアのエネルギー輸出収入を減らすとともにロシア産原油の世界市場への安定供給を維持するという重要使命を追求し続ける」と強調した。