[モスクワ 13日 ロイター] - 軍事支出を拡大しているロシアは財源として石油収入への依存が大き過ぎるので、原油価格が想定水準に達しない場合、増税を迫られるかもしれない――。エコノミストはこうした見方を示している。
2022年12月上旬に主要7カ国(G7)が主導して西側諸国がロシア産原油の輸出価格に1バレル=60ドルの上限を導入して以降、指標ウラル原油価格は20%余り急落。23年の政府予算はウラル原油が1バレル=70ドル強で推移するとの前提を置いている。足元の価格が50ドル近くに落ち込んでいる点を踏まえると、こうした状況は大きな問題になりかねない。
アルファ・バンクはノートに「予算の石油依存度が増大し続けているのは懸念される」と記し、天然ガスと石油製品の輸出収入が目減りする展開が迫ってきていると警告した。
複数のアナリストの見立てでは、ウクライナにおける戦費などのために政府は22年の支出を25%余り拡大しており、この手当てのためには67ドルだった原油価格が101ドルまで跳ね上がる必要が出てくる。
さらに22年にガスプロムからの配当と特別な納税で1兆8500億ルーブルの臨時収入があった点を考慮すれば、今年の財源確保に不可欠な原油価格の水準は最高で115ドルに切り上がる可能性があるという。
アルファ・バンクのチーフエコノミスト、ナタリア・オルロワ氏は、実際の原油価格と予算を手当てできる価格に大きな差がある局面では、政府借り入れによる持続的な穴埋めは不可能で、支出削減なり新たな増収手段の確保なり、何らかの軌道修正が求められると指摘。プーチン大統領が5期目を目指す大統領選を来年に控え、年内には地方選も行われる以上、支出削減による対応は問題外になるとの見方だ。
ルネサンス・キャピタルのエコノミストチームも、22年の予算で軍事支出に多くが振り向けられた結果、中期的な税負担が増大するリスクが高まったとの見方を示した。
(Darya Korsunskaya記者)