[ブリュッセル/アムステルダム 23日 ロイター] - 欧州連合(EU)の金融・エネルギー市場規制当局は23日、来月導入されるガス価格の上限について、金融の安定性に影響を与え、欧州のガス市場の流動性を抑制する可能性があると警告した。
EU諸国は昨年12月、ガス価格の上限設定で合意。2月15日以降、天然ガス取引指標であるオランダTTF期近物が高騰した場合に発動する。
欧州証券市場監督機構(ESMA)は23日公表した報告書で、上限が適用される水準までガス価格が上昇した場合、市場参加者は適用を回避するため、あるいは適用に備えるために行動を変える可能性が高いと指摘。
「このような行動は個人ベースでは合理的に見えるが、より幅広い市場環境に重大かつ急激な変化をもたらす可能性があり、市場の秩序ある機能、ひいては金融の安定性に影響を与えかねない」とした。
市場参加者はEU域外の取引プラットフォームや「店頭」取引など、上限が適用されない契約や方法でのガス取引に移行する可能性が高く、規制されたTTF取引市場の流動性に打撃を与える恐れがあるという。
EUのエネルギー規制協力庁(ACER)も報告書で、近く導入される価格上限は今のところエネルギー市場に影響を与えていないものの、さまざまなリスクを監視していると表明。これらのリスクには市場参加者が「店頭」取引やEU域外の取引所にシフトする可能性などが含まれるとした。