[ロンドン/ヨハネスブルク 24日 ロイター] - 中国の主要政策銀行である中国輸出入銀行と国家開発銀行が2021年に合意した途上国向け融資は37億ドルと、13年ぶりの低水準に落ち込んだことが、米ボストン大学グローバル開発政策センターの調査で分かった。大型石油プロジェクトへの投資抑制が背景にある。
両行による途上国100カ国向け融資は16年に過去最高を付けて以降、毎年減少している。
同センターのケビン・ギャラガー所長はロイターに対し、「中国の投資は総じて、量を下げて質を上げる方向にシフトする」見通しだと述べた。
多額の債務と人民元の変動に対する保険として機能し得るドルを保守的に確保する必要が生じるかもしれず、新型コロナウイルス禍後も国内優先の状況は変わらないとした。
中国輸出入銀と国家開発銀は、巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として、08─21年の期間に世界中で4980億ドルの融資を約束。
融資先トップはロシアで580億ドル、次いでベネズエラが550億ドルで、そのほとんどが資源採掘・パイプライン事業向けだが、15年に同国への融資は停止している。3位はアンゴラの330億ドルだった。
中国の途上国向け融資が減少する一方で、世界銀行の融資が拡大していることも調査で分かった。
世銀が途上国の事業に対して16─19年に行った融資は年平均400億ドルとなり、20年にはコロナ対応も含めて670億ドルと、08年以来の大きさに膨らんだ。21年は620億ドル近くに達し、中国の融資の17倍となった。