[ロンドン 30日 ロイター] - 英石油大手BPは30日公表した2023年版のエネルギー見通しで、ロシアのウクライナ侵攻が長期的なエネルギー需要を圧迫し、同時にクリーンエネルギーへの移行を加速させるとの予想を示した。
ウクライナ戦争の影響で35年の世界経済は昨年の予測と比べて約3%減速する見通しとした。
各国政府の現在のエネルギー移行計画に基づく中心シナリオでの35年石油需要予測は5%、ガス需要予測は6%、それぞれ引き下げた。エネルギーを輸入に大きく依存する欧州とアジアが修正の大部分を占めたと説明した。
BPが想定する3つのシナリオでは、世界のエネルギー需要は20年代終盤から35年までの間にピークを迎えるとみられている。
35年の1次エネルギー消費予測は昨年の見通しから2%引き下げた。このうち半分はエネルギー効率の向上により、残る半分は景気減速によると見込んだ。
報告書は「ロシアとウクライナの戦争でエネルギー安全保障への関心が高まり、各国が再生可能・非化石燃料など国内で生産されたエネルギーへのアクセス拡大を目指す中で移行が加速する可能性がある」と指摘した。
3つのシナリオでは石油需要は30年以降に急減し始めるものの、引き続き重要な役割を果たす見通しで、35年の世界の石油需要は日量7000万─8000万バレルと予測されている。現在の石油消費は日量約1億バレル。
BPの中心的なシナリオに基づく30年の炭素排出量は、前回の見通しを3.7%下回る。このシナリオでは、世界の炭素排出量は20年代にピークを迎え、50年頃までに19年の水準を約30%下回る。
*炭素排出量などの見通しを追加しました。