[東京 1日 ロイター] - 米エネルギー省の研究機関であるローレンス・バークレー国立研究所は1日、日本の電力の脱炭素化に関する研究結果を公表。太陽光発電や風力発電の活用、蓄電池のコスト低下などによって、現在、総発電量の2割程度のクリーンエネルギーを2035年までに9割に引き上げることが可能とした。
同時に、液化天然ガス(LNG)火力発電所の新設や石炭火力発電所の稼働を想定しなくても、電力システムの信頼性が保たれるとの見解を示した。一方で、このシナリオの実現には国の政策的支援が不可欠とした。
同研究所は、再生可能エネルギーや蓄電池の最新コストデータ、電力モデルなどを使い、再エネを主力とした電源化の実現可能性について研究を行っている。これまで、米国、インド、中国に関する研究を発表。「バイデン政権やモディ政権に報告され、政策立案に活用されてきた」としている。
同研究所は、クリーンエネルギーについて二酸化炭素を直接排出しない電源による発電として、再エネ以外に原子力や水素も含めている。今回の日本を対象にした研究では、再エネ導入コストの低減、再稼働が申請されている原子力発電所の全稼働や政府の「エネルギー基本計画」を前提にした。
日本政府が21年に公表した「第6次エネルギー基本計画」では、30年度の電源構成は再生可能エネルギーが36―38%、原子力が20―22%となっている。
同研究所の白石賢司研究員は「エネルギー基本計画の再エネ目標は経済的(安価)であることが確認できた」とした上で、35年の脱炭素化を実現するためには「強力な政策的支援が必要」と指摘。大規模蓄電池の補助や洋上風力のオークションの加速などを挙げた。
主要7カ国(G7)は35年までの電力部門の大部分の脱炭素化で合意しているが、日本は明確な道筋を示していない。