[9日 ロイター] - ロシア高官は9日、ウクライナ産穀物の黒海経由での輸出を可能にした国際合意は「半分しか実施されていない」との見方を示した。
国連とトルコが仲介した「黒海穀物イニシアチブ」は昨年7月、ウクライナの3つの港から穀物を輸出することを可能にした。この合意は11月に120日間延長され、反対がなければ3月18日に延長されるが、ロシアはすでに、ロシアの輸出に影響する規制が解除された場合にのみ、延長に同意すると表明している。
ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は「最終的な受益者についてまだ多くの疑問がある。穀物の大半がどこに行くのかについての疑問もある」とした上で、ロシアの食料および肥料の輸出を促進する国連との覚書に関する疑問も「周知されている」と述べた。
ロシアのラブロフ外相は9日の記者会見で、ウクライナ産の穀物を安全に輸出することとロシアの輸出に対する障壁を取り除くことは「表裏一体」と指摘。前者は実施されており「われわれはトルコと共にこの点に関するあらゆる義務を果たしている」一方、後者は「全く実施されていない」とし、「半分しか実施されていないのであれば、延長に関する問題は非常に複雑化する」とした。
ウクライナのイェルマーク大統領府長官は、穀物輸出合意は戦争終結に向けた計画の一環であり、無期限に延長されなくてはならないと主張。輸出合意の終了を示唆することは「(合意を仲介した)トルコと国連に対する圧力」に相当するとし、「少なくともこれまでと同等の期間は延長される必要がある」と述べた。
国連のグテレス事務総長は8日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問し、穀物輸出合意の延長を巡りゼレンスキー大統領と協議。国連貿易開発会議(UNCTAD)のレベッカ・グリンスパン事務局長は来週、ジュネーブでロシア高官と会談し、同合意の延長について協議する。
ロシア大統領府(クレムリン)によると、国連のグテレス事務総長とプーチン大統領の直接会談は今のところ予定されていない。
国連によると、ウクライナは同合意の下、これまでにトウモロコシと小麦を中心に2300万トンを超える穀物を輸出。主な輸出先は中国、スペイン、トルコ、イタリア、オランダとなっている。