[シドニー 10日 ロイター] - オーストラリアのアルバニージー政権は9日発表した予算案に、水素の生産・輸出を加速させるため総額20億豪ドル(14億米ドル)の「水素ヘッドスタート」プログラムと呼ばれる政府投資計画を盛り込んだ。業界首脳や専門家は、温室効果ガス排出量削減を進める上で有効なクリーンエネルギー関連プロジェクトをより多く始動させる呼び水になると期待している。
ボーエン気候変動・エネルギー相は10日の議会で、同プログラムの対象はグリーン水素(再生可能エネルギーによる電気分解で作られる水素)に限られると説明。オーストラリア国内では、総額で3000億豪ドルものグリーン水素プロジェクトが、米国などとの国際的な投資資金獲得競争のあおりで危険にさらされていると付け加えた。
同プログラムにおける政府投資は、競争的な生産契約を通じて大規模なグリーン水素プロジェクトの収入支援に充当される。
オーストラリア水素協議会のフィオナ・サイモン最高責任者は「競争的な水素生産契約は、主要プロジェクト向けに収入支援を提供するために大いに必要とされる市場メカニズムで、できるだけ早く生産能力をギガワット級に高められるようさらに大きなプロジェクトを立ち上げさせる力になるだろう」と述べた。
鉄鉱石大手フォーテスキュー・メタルズ・グループのエネルギー子会社フォーテスキュー・フューチャー・インダストリーズ(FFI)は、同プログラムを「大きな一歩」と歓迎した。
FFIはグリーン水素生産を拡大中。「グリーン水素は温室効果ガス排出量を減らし、オーストラリアのエネルギー安全保障を高め、新規雇用を創出してくれる」と指摘した。