[国連 3日 ロイター] - ブリンケン米国務長官は3日、全ての国連加盟国はロシアに黒海を脅迫に利用するのをやめるよう伝えるべきと訴えた。
紛争による飢饉と食料不安に関する国連安全保障理事会の議長を務めるブリンケン氏は、ロシアが黒海を脅迫として利用したり、世界の最も脆弱な人々を武器として使用したりするのは「もうたくさんだ」と指摘。「戦争の武器としての食料の使用と、戦争の戦術としての民間人の飢餓を終わらせるための行動を取る」ことにコミットする、米国が起草した短いコミュニケに90カ国近くが賛同したと述べた。
ただ米国のコミュニケでは具体的な国名は挙げられていない。
ロシアは決済、物流、保険に対する制裁がロシア産農産物の輸出を妨げていると主張しているが、ブリンケン氏は「実際には、制裁は明確に食料と肥料を除外している」とし、ロシアが黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)の履行を停止した当時、「ロシアは従来よりも高い価格でより多くの穀物を輸出していた」とした。
これとは別に、国連安保理は3日に採択した公式声明の中で「国際人道法で禁止されている戦争の方法としての民間人の飢餓の利用と、人道的アクセスの不法な拒否を強く非難する」とした。
ブリンケン氏は記者団に対し、黒海イニシアティブが復活した場合、米国は「ロシアを含めた全ての国が自由かつ安全に食料と食品を輸出できるよう、必要なことは何でもやり続ける」と指摘。「われわれは食料が世界の市場に出回ることを望んでいる。価格が下落することで、全ての人が恩恵を受けられるようにしたい」とした。
安保理に参加した多くの国々は、ロシアが黒海イニシアティブから離脱したことに失望感を示し、再考を要請した。
ロシアのドミトリー・ポリアンスキー国連次席大使は3日の安保理で、西側諸国は国連とロシアの協定の履行に協力する気がないと非難。世界の小麦市場においてロシアはウクライナよりも大きなシェアを占めるほか、ロシアが主要な肥料輸出国であることを強調し、「西側諸国は、ロシアの穀物や肥料を必要としている国々に支障なく届けられるようにすることに集中する必要がある」とした。