Tomasz Janowski
[ヨハネスブルク 19日 ロイター] - 19日公表されたボストン大学のリポートによると、中国政府によるアフリカへのソブリン融資(政府保証付き融資)は昨年、総額9億9400万ドルと10億ドルを割り込み、2004年以降で最低の水準にとどまった。この10年間にわたりアフリカ大陸のインフラ事業に多額の資金を提供してきた中国の方針転換が鮮明に示された。
中国のアフリカ向け融資の減少は、アフリカの数カ国が債務危機に見舞われると同時に、中国自体も自国経済が逆風に直面している状況下で起きた。
アフリカは中国の習近平国家主席が2013年に提唱した巨大経済圏構想「一帯一路」の重点的な対象となっていた。
ボストン大学のデータによると、中国は2000年から22年にかけてアフリカに総額1700億ドルの融資を実施した。だが融資は16年をピークに大きく減少。21年に調印された融資契約は7件のみで総額12億2000万ドルにとどまり、昨年に調印された融資契約は9件だった。
リポートを共著したボストン大学の研究者、オインタレラド・モーゼス氏は、この2年間は新型コロナウイルスのパンデミックに加え、他の要因も影響していると指摘。融資減少の「多くは、リスクエクスポージャーの水準と関係している」と述べた。
アフリカ各国の政府は大方、中国の融資とインフラ事業を歓迎する一方、西側諸国は中国が貧困国に持続不可能な債務を負わせて借金漬けにしていると批判している。
中国から融資を受けているザンビアは2020年終盤、新型コロナウイルスのパンデミック期間中にアフリカで債務不履行を起こした最初の国になった。ガーナやケニア、エチオピアなど他のアフリカ諸国も債務の支払いに苦しんでいる。
一方で中国は、不動産業界の不振が続き、通貨人民元が下落し、中国製品に対する需要が世界的に低迷する状況下、政策当局者は景気のてこ入れに苦戦するなど国内で独自の問題に直面している。
モーゼス氏はアフリカ向け融資の減少に「中国の国内経済が大きく影響している」と語った。
アフリカ向け融資の大半に関与してきた中国の国家開発銀行と輸出入銀行は、国内経済を支援するよう方針を転換する一方、海外向け融資の多くは自国に近い市場に振り向けられる見通しだ。
ただ、融資の減少は必ずしも、中国のアフリカに対する取り組みの終了を意味するわけではない。
ボストン大学の研究者は、5億ドルを超える融資が減少するとともに社会と環境への影響をより重視するという傾向は、質の向上と環境への配慮を強めた「一帯一路」へ向けた中国の姿勢を反映していると指摘。モーゼス氏は「こうした動きが(中国とアフリカの)関係の大きな部分を占めており、中国の貸し手からは依然として関心が寄せられると思う」と述べた。
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