米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り利上げを見送り同時に、金利や成長見通しを引き下げた。
利上げ見送りが全会一致の決定となったことも前回会合に比べてハト派に傾斜した内容ととれる。
前回4月会合ではジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁が政策金利であるFF金利誘導目標を現行の0.25−0.50%のレンジから0.5−0.75%へのレンジ引き上げを支持した。
声明での経済や労働市場の現状判断はまちまち。
前回4月声明では「経済活動のペース鈍化にかかわらず、労働市場の状況は一段と改善した」と指摘された。
これに対し、6月会合では「労働市場は減速したが経済活動はペースが加速したようだ」との見解が示された。
イエレンFRB議長も会見で「最近の経済指標は強弱まちまち」との見解を示している。
ただ、「石油以外の経済での減速は予想外」と成長見通しの引き下げを説明した。
議長は世界経済を混乱させる可能性もあるとし英国の欧州連合(EU)離脱に関する国民投票を控えていることも本日の金融政策決定で考慮されたことを明らかにした。
労働市場に関しては「労働市場の改善ペースは著しく減速した」「最近の雇用統計は非常に弱い」と雇用の鈍化を認めたうえで今後、労働市場の動向を注視していく方針を示した。
ただ、同時に、「1,2ヶ月の統計に過剰反応すべきではない」との見方で、「賃金の伸びは労働市場が概して健全な証拠となる」ほか、「多くのデータが労働市場の強さを示唆している」とし、「労働市場の進展が終了したとは考えていない」と労働市場への楽観的な見方を維持している。
次回の雇用統計で判断していく方針。
そのほか、インフレにサプライズはなく、政策の調整はどの会合でも可能であり、7月の利上げも除外しないことを再確認した。
6月FOMC ■経済現況判断 経済活動はペースが加速したようだ(4月声明:経済活動のペースは鈍化したようだ) ■雇用現況判断 前回4月以降、労働市場は減速した(4月声明:労働市場の状況は一段と改善)。
失業率は低下したものの、雇用の伸びは鈍化した。
■輸出現況判断 輸出による障害は後退しつつある ■企業の設備投資現況判断 起業の設備投資は弱まった。
■スタッフ予測(Summary of Economic Projections :SEP) ◎国内総生産(GDP) 2016年2.0%(3月2.2%)、2017年2.0%(2.1%) ◎失業率 2016年4.7%(4.6%)、2017年4.6%(4.6%)、2018年4.6%(4.5%) ◎PCE 2016年1.4%(3月1.2%)、2017年1.9%(1.9%)、2018年2.0%(2.0%) ◎年内の利上げ見通し:2016年0.9%(0.9%)、2017年1.6%(1.9%)、2018年3.0%(3.3%) 1回:6名(1名) 2回:9名(9名) 3回:1名(3名) 4回:1名(4名)