*14:41JST 1stコーポ Research Memo(1):2023年5月期も建築事業が好調。
受注高、受注残高は過去最高を記録 ■要約
ファーストコーポレーション (TYO:1430)は、マンション建設に特化した建設会社である。
創業は2011年6月と歴史が浅いが、2015年3月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場したのに続き、2016年12月には東証1部市場に指定替えと、創業からわずか5年半で1部上場企業になるスピード上場を果たし、文字どおりの急成長を遂げた。
「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」を社是とし、「安全・安心・堅実」をモットーに事業を展開している。
主要事業エリアをマーケットの将来性が高い首都圏(1都3県)とし、分譲マンション建設に特化した工事請負を主として事業を推進してきた。
最近では、再開発事業、アクティブシニア向け分譲マンション事業に注力しているほか、人生100年時代に対応した「ウェルビーイングシティ構想」に基づく自社分譲マンションブランド「CANVAS(キャンバス)」の展開にも注力し、初の開発案件として京王相模原線多摩境駅に総戸数183戸に上るCANVAS南大沢を建設した。
「ウェルビーイングシティ構想」とは、「住・食・働・学・遊・健・看」をキーワードに、様々な世代の人たちにとって終の住処になるような分譲マンションを開発していこうとするものである。
将来的には同コンセプトに基づく街づくりに着手していくことも計画している。
同社の急成長を支えているのが「造注方式」と呼ぶ事業モデルである。
これは開発部隊がマンション用地を仕入れ、企画・設計を行い事業主に提案、特命で工事を受注して施工し引き渡す方式だ。
これによって、主体的に企画提案を行うことができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなるという特徴がある。
これにより、事業運営の効率化や安定した利益確保を可能としている。
ゼネコンとして、土地開発の専任部隊を有し、これが強みとなっているほか、スピーディーな決裁プロセスによって、競合に対し優位に立っている。
同社が主戦場としている首都圏においては、なお市場開拓余地が大きく、この「造注方式」を活用することによって、中長期的に成長が見込まれると弊社は考えている。
最近では、東京圏での都区部からニーズが強い郊外に力点を置き、受注拡大に注力しており、2023年5月期末時点においても、神奈川県横浜市港北区、神奈川県相模原市緑区などで分譲マンションの建設を行っている。
2023年5月期は、売上高が前期比※15.4%減の25,543百万円、営業利益が同3.4%増の1,983百万円となった。
売上高に関しては、建築事業、共同事業が好調だった。
特に建築事業の事業環境は引き続き良好であり、受注高、受注残高は過去最高を記録した。
一方、不動産売上高が前期を下回り、連結ベースの売上高を押し下げた。
利益に関しては、前期比で増益となった。
不動産売上総利益率、共同事業収入総利益率が前期を上回ったことに加えて、完成工事総利益率が上昇したことも寄与した。
完成工事総利益率に関しては、建築資材が高騰する前に資材を手配し着工したことにより原価高騰の影響を最小限に留めたこと、工事案件当たりの生産性を高めたことなどが寄与した。
これらにより、売上高営業利益率も同プラス1.4ポイントの7.8%に高まった。
※同社は、2020年11月に設立した子会社ファーストエボリューション(株)(分譲マンションブランド「CANVAS(キャンバス)」の企画、販売代理ならびに施設運営及び居住者への各種サービス提供を実施)を連結子会社とする連結決算を2023年5月期末より開始している。
このため、前期比増減率は参考値として記載した。
2024年5月期の見通しは、売上高が前期比27.6%増の32,600百万円、営業利益が同5.7%減の1,870百万円を見込んでいる。
売上高に関しては、好調な外部環境を受け、建築事業が引き続き順調に推移することを見込んでいる。
2023年5月期は受注高が過去最高を記録するなかで、受注残高も過去最高に積み上がった。
これらの受注残高が順次、完成工事高に振り替わり売上に貢献してくることが想定される。
また、不動産売上に関しても、同130.5%増と大幅な増収を見込んでいる。
事業用地の確保に注力し、業績をV字回復させていく構えだ。
一方で、利益面に関しては建築資材価格の高止まりなどの影響を受けることを見込んでいるほか、造注比率の低下も減益要因となることを見込む。
先述の事業用地の確保に注力することにより造注比率を上昇させ、中長期的に利益率を高めていく方針だ。
また、同社の新マンションブランド1号案件である「CANVAS南大沢」は2022年4月に第1期分譲を開始しており、堅調な販売成績であるという。
販売価格に加えてサービス利用料がかかるなど、高価格帯案件であるにもかかわらず販売が堅調に推移していることは、同社の「ウェルビーイングシティ構想」に対して顧客の支持が高いことの証左と言えるだろう。
■Key Points
・マンション建設特化型ゼネコンで造注方式が強み
・2023年5月期は減収増益
・建築事業が好調で受注高、受注残高は過去最高
・2024年5月期は増収予想も資材価格高止まりなどにより減益を見込む
・分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の分譲は堅調に推移
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
受注高、受注残高は過去最高を記録 ■要約
ファーストコーポレーション (TYO:1430)は、マンション建設に特化した建設会社である。
創業は2011年6月と歴史が浅いが、2015年3月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場したのに続き、2016年12月には東証1部市場に指定替えと、創業からわずか5年半で1部上場企業になるスピード上場を果たし、文字どおりの急成長を遂げた。
「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」を社是とし、「安全・安心・堅実」をモットーに事業を展開している。
主要事業エリアをマーケットの将来性が高い首都圏(1都3県)とし、分譲マンション建設に特化した工事請負を主として事業を推進してきた。
最近では、再開発事業、アクティブシニア向け分譲マンション事業に注力しているほか、人生100年時代に対応した「ウェルビーイングシティ構想」に基づく自社分譲マンションブランド「CANVAS(キャンバス)」の展開にも注力し、初の開発案件として京王相模原線多摩境駅に総戸数183戸に上るCANVAS南大沢を建設した。
「ウェルビーイングシティ構想」とは、「住・食・働・学・遊・健・看」をキーワードに、様々な世代の人たちにとって終の住処になるような分譲マンションを開発していこうとするものである。
将来的には同コンセプトに基づく街づくりに着手していくことも計画している。
同社の急成長を支えているのが「造注方式」と呼ぶ事業モデルである。
これは開発部隊がマンション用地を仕入れ、企画・設計を行い事業主に提案、特命で工事を受注して施工し引き渡す方式だ。
これによって、主体的に企画提案を行うことができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなるという特徴がある。
これにより、事業運営の効率化や安定した利益確保を可能としている。
ゼネコンとして、土地開発の専任部隊を有し、これが強みとなっているほか、スピーディーな決裁プロセスによって、競合に対し優位に立っている。
同社が主戦場としている首都圏においては、なお市場開拓余地が大きく、この「造注方式」を活用することによって、中長期的に成長が見込まれると弊社は考えている。
最近では、東京圏での都区部からニーズが強い郊外に力点を置き、受注拡大に注力しており、2023年5月期末時点においても、神奈川県横浜市港北区、神奈川県相模原市緑区などで分譲マンションの建設を行っている。
2023年5月期は、売上高が前期比※15.4%減の25,543百万円、営業利益が同3.4%増の1,983百万円となった。
売上高に関しては、建築事業、共同事業が好調だった。
特に建築事業の事業環境は引き続き良好であり、受注高、受注残高は過去最高を記録した。
一方、不動産売上高が前期を下回り、連結ベースの売上高を押し下げた。
利益に関しては、前期比で増益となった。
不動産売上総利益率、共同事業収入総利益率が前期を上回ったことに加えて、完成工事総利益率が上昇したことも寄与した。
完成工事総利益率に関しては、建築資材が高騰する前に資材を手配し着工したことにより原価高騰の影響を最小限に留めたこと、工事案件当たりの生産性を高めたことなどが寄与した。
これらにより、売上高営業利益率も同プラス1.4ポイントの7.8%に高まった。
※同社は、2020年11月に設立した子会社ファーストエボリューション(株)(分譲マンションブランド「CANVAS(キャンバス)」の企画、販売代理ならびに施設運営及び居住者への各種サービス提供を実施)を連結子会社とする連結決算を2023年5月期末より開始している。
このため、前期比増減率は参考値として記載した。
2024年5月期の見通しは、売上高が前期比27.6%増の32,600百万円、営業利益が同5.7%減の1,870百万円を見込んでいる。
売上高に関しては、好調な外部環境を受け、建築事業が引き続き順調に推移することを見込んでいる。
2023年5月期は受注高が過去最高を記録するなかで、受注残高も過去最高に積み上がった。
これらの受注残高が順次、完成工事高に振り替わり売上に貢献してくることが想定される。
また、不動産売上に関しても、同130.5%増と大幅な増収を見込んでいる。
事業用地の確保に注力し、業績をV字回復させていく構えだ。
一方で、利益面に関しては建築資材価格の高止まりなどの影響を受けることを見込んでいるほか、造注比率の低下も減益要因となることを見込む。
先述の事業用地の確保に注力することにより造注比率を上昇させ、中長期的に利益率を高めていく方針だ。
また、同社の新マンションブランド1号案件である「CANVAS南大沢」は2022年4月に第1期分譲を開始しており、堅調な販売成績であるという。
販売価格に加えてサービス利用料がかかるなど、高価格帯案件であるにもかかわらず販売が堅調に推移していることは、同社の「ウェルビーイングシティ構想」に対して顧客の支持が高いことの証左と言えるだろう。
■Key Points
・マンション建設特化型ゼネコンで造注方式が強み
・2023年5月期は減収増益
・建築事業が好調で受注高、受注残高は過去最高
・2024年5月期は増収予想も資材価格高止まりなどにより減益を見込む
・分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の分譲は堅調に推移
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)