[フランクフルト 17日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は17日、欧州にはデジタル化とグリーン移行をファイナンスするため、単一の監督機関や取引インフラなど資本市場同盟(CMU)が必要だと述べた。
多額の負債を抱えた政府や銀行では、欧州連合(EU)の生産性と自立性の向上に必要な資金を確保できないと指摘。
欧州委員会によると、EUはグリーン移行のため2030年まで毎年6200億ユーロ(6720億ドル)、デジタル化のために毎年1250億ユーロが必要になる見通し。
総裁は会議で「この投資をファイナンスするために既存の枠組みに依存できないのは明らかだ。CMUを軌道に乗せなければ、こうした移行を成功させることはできない」と述べた。
総裁によると、デジタル化や脱炭素化を望む企業は必要な資金を確保できておらず、ECBが調査した中小企業の40%近くがグリーン投資のファイナンスに対する投資家の意欲不足を嘆いている。
また、欧州のスタートアップ企業の資金調達力は米国の半分以下という。
総裁は改革の一例として、欧州証券市場監督機構(ESMA)の権限を強化して、米証券取引委員会(SEC)のような組織にすることを提案。
「国境を越えた大企業やEUの中央清算機関のような市場インフラがもたらすシステミックリスクを軽減するには、直接的な監督を含む広範な権限が必要になる」と述べた。
また「(証券取引データを集約した)欧州統合テープを創設すれば、国境を越えて統合された大規模な市場インフラ・取引所グループへの移行を奨励できる」とも発言した。