[ニューヨーク 10日 ロイター] - 13日から始まる週の米株式市場は、14日発表の2月の消費者物価指数(CPI)が相場の動向を占う材料として注目される。
市場はすでにパウエル米連邦準備理事会(FRB)のタカ派的議会証言や金融危機後最大の銀行破綻で押し下げられている。
10日発表された2月の雇用統計は内容がまちまちで、大幅利上げに対する懸念はやや後退した。
ただ、CPIが予想を上回れば大幅利上げに対する懸念が再燃する可能性がある。金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレー銀行の破綻で動揺する市場に追い打ちをかけかねない。
10日の市場ではSVBに加え、暗号資産(仮想通貨)関連企業との取引が主な事業である銀行持ち株会社の米シルバーゲート・キャピタル破綻の影響がどこまで広がるか見極めようと、身構える投資家が多かった。
ウェドブッシュ・セキュリティーズのマネジングディレクター、マイケル・ジェームズ氏は「金融セクターから生じた懸念が市場全体に波及効果を及ぼしつつある」と指摘した。
CMEのフェドウォッチによると、雇用統計を受けて3月21─22日の連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイント(bp)の利上げの確率は前日までの70%程度から40%に低下した。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのチーフ・インベストメントオフィサー、マーク・エーフル氏は「今やFRBは、利上げが金融システムと経済に影響を及ぼしている明確な証拠を手にしている。検討材料とはなるだろう」と述べた。
2月のCPIの前年比上昇率がアナリスト予想の6%を上回れば、金利動向の見通しは再び大きく変わる可能性がある。
コメリカ・ウェルス・マネジメントのチーフ・インベストメントオフィサー、ジョン・リンチ氏はCPIについて、ピークだった9%から現在の水準への低下は「容易な動き」だったが、6%から3%への低下はより難しくなると指摘した。