[ワシントン 28日 ロイター] - 米上下両院の合同経済委員会は28日、米国の医療用麻薬オピオイド禍について報告書を発表し、コロナ禍の時期にオピオイド中毒・乱用による死者がさらに増えたことで、オピオイド禍関連の経済的損失は2020年だけで1兆4700億ドルに上ったとの推計を示した。19年の4870億ドルから急増したという。
推計は米疾病対策センター(CDC)の科学者の分析方法に基づき、物価上昇も調整。その上で、このペースに基づくと今後もさらに損失額が膨らむ可能性が高いとした。CDCのデータによると、21年の全米の薬物過剰摂取死10万7000人のうち、オピオイドは75%を占めている。
合同経済委のデービッド・トローン下院議員(民主党)はオピオイドの犠牲者の規模について「ボーイング737小型ジェット旅客機が毎日1機ずつ墜落し、全員死亡するのに匹敵する」と指摘。これにより、その分の生産性や雇用が失われ、巨額の医療費負担が発生していると説明した。
バイデン大統領は23日、オピオイド過剰摂取の治療や密輸行為への制裁、取締捜査官らのための予算増額に向けて計15億ドル近くを予算に充てる意向を発表していた。