■決算動向
ユニリタの2015年3月期の業績は、売上高が前期比69.4%増の7,120百万円、営業利益が同24.1%増の1,465百万円、経常利益が同26.9%増の1,575百万円、当期純利益が同27.6%増の1,020百万円と大幅な増収増益となった期初会社予想との対比では、売上高が94.9%と下回ったものの、営業利益では106.2%と計画を上回った
ビーコンITの連結化により、新たに「データ活用事業」と「その他事業」が加わったことが増収に大きく貢献した一方、既存事業である「システム運用事業」は技術支援サービスの増加によりわずかに伸長したものの、市場が縮小している「メインフレーム事業」は減収傾向が続いている一方、売上高が期初会社予想を下回ったのは、「データ活用事業」と「システム運用事業」の製品販売が計画を下回ったことが主因である「メインフレーム事業」は減収となったものの、製品販売の増加(一過性の需要によるものとみられる)により減収幅を想定以下に抑えることができたようだ
損益面では、「データ活用事業」や「システム運用事業」において労働集約的な技術支援サービスの比重が高まったことや、「データ活用事業」が加わったことにより他社製品へのライセンス料支払いが増えたことから原価率が22.8%(前期は12.2%)に大きく引き上がるとともに、事業構造改革に向けた先行費用等から営業利益率は20.6%(前期は28.1%)に低下したただ、営業利益が期初会社予想を上回ったのは、「メインフレーム事業」における製品販売の増加が利益を押し上げたことによるものである
財務面では、総資産が11,926百万円(前期末比4.5%増)、純資産が9,337百万円(同9.2%増)とそれぞれ増加し、自己資本比率は69.2%(前期は64.5%)に上昇したまた、現預金残高も内部留保の積み増しに伴い5,927百万円(前期末比5.4%増)に膨らんだ一方、資本効率を示す自己資本当期純利益率(ROE)も13.1%(前期は11.1%)に改善しており、財務基盤は優良な状態が維持されていると言える
セグメント別の業績は以下のとおりである
ビーコンIT連結化により新たに加わった「データ活用事業」は、売上高が2,341百万円、営業利益14百万円であった(前期比の開示はない)売上高の内訳で見ると、製品販売が383百万円、技術支援サービスが874百万円、保守料が1,084百万円となっている製品販売が想定よりも苦戦した模様であるが、顧客の人手不足等への対応のため労働集約的な技術支援サービスが想定以上に増加したことにより、製品販売への対応が手薄となったことが影響したようだまた、ビーコンITとの早期融合を図る過程において、市場性及び収益性の観点から他社製品の取扱いを一部改廃するなど損益改善を優先的に進めてきた
「システム運用事業」は、売上高が前期比5.4%増の1,943百万円、営業損失は447百万円(前期は465百万円の損失)と増収となり、営業損失幅もわずかながら縮小した売上高の内訳で見ると、製品販売が370百万円(前期比28.9%減)と苦戦したものの、技術支援サービスが949百万円(同33.5%増)と大きく伸びたまた、保守料は623百万円(同2.0%増)とほぼ横ばいであった技術支援サービスが想定以上に大きく伸びたのは、「データ活用事業」と同様の理由であり、それによって製品販売の低迷を招き、利益面でも足を引っ張る要因となったようだ
「メインフレーム事業」は、売上高が前期比1.8%減の2,316百万円、営業利益が同7.2%増の1,819百万円と微減収ながら大幅な増益となったオープン化やダウンサイジング化の流れを受けて縮小傾向が続いているものの、金融業界や生損保業界でのBCP対策としてのシステム増強案件、カード業界のシステム更新案件等を受注したことから減収幅を想定以下に抑えるとともに、利益面では想定を上回る増益となった
ビーコンIT連結化により新たに加わった「その他事業」は、売上高が518百万円、営業利益が78百万円であった(前期比の開示はない)人材派遣市場の需要拡大を背景に、人材派遣各社向けの業務改善ニーズ等を捉えた製品や、情報漏えい防止のためのセキュリティツールの引き合いが増加した本事業に属するアスペックスとビーティスの連結子会社の健闘が目立った
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)