[シドニー 4日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は4日、経済成長見通しを下方修正し、景気後退の回避に努める中で、高騰するインフレを抑えるためにさらなる利上げが必要になると警告した。
四半期ごとの金融政策報告で、インフレ見通しを引き上げたほか、賃金上昇も予想。また、来年は失業率上昇が加速すると想定した。
インフレ率が中銀目標の2─3%に低下するのは2024年末以降と予想した。
中銀は「これらの予測には多くの不確定要素があり、国内経済の安定を維持しながらインフレ率を目標に戻すという目標達成への道は狭い」と述べた。
また、電力・ガス料金の急上昇がインフレ率の目標回帰を遅らせる可能性が高いほか、新たな洪水で国内の食料供給に支障が出ていると指摘した。
消費者物価指数(CPI)上昇率は年内に約8%でピークに達すると予想し、8月時点の7.75%から引き上げた。コアインフレ率に当たるCPIトリム平均は年内に6.5%に上昇する見通しとし、従来の6.0%から引き上げた。いずれも24年末の水準は3.2%と見込んだ。
ただ、中期的なインフレ期待と賃金の伸びは引き続きインフレ目標に沿った水準にあり、この状態が続くことが重要とした。
年間の賃金上昇は今年3.1%、来年と24年は3.9%に加速すると予想した。
中銀は今週開いた理事会で政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、2.85%とした。9月まで4会合連続で50bpの利上げを行った後、10月に25bpにペースを落とした。
金融政策報告では、インフレ率を目標に戻す決意を改めて示し、さらなる利上げが必要になると警告。
「今後、インフレ率の目標回帰を確実にするためにより大幅な金利引き上げが必要と判断した場合、そのようにする」と述べた。「同様に、金利を一定期間据え置くことが必要な状況になればそうする」とも表明した。
今年の経済成長見通しは0.3%ポイント引き下げて2.9%とし、23、24年についてはそれぞれ1.4%、1.6%に下方修正した。
失業率は今年末まで3.4%にとどまり、24年終盤には4.3%に上昇すると見込んだ。
これらの予測はいずれも、金利が来年半ばに3.5%前後でピークに達し、24年末までに約3%に低下するという前提に基づいている。