[ニューヨーク 3日 ロイター] 今週の米国株式市場は、6月の雇用統計など主だった指標が期待外れならば、後退する可能性がある。
先週の米株式市場は5日続伸、週間では2年ぶりの大幅な上昇を記録した。中期財政計画の可決を受けてギリシャ債務危機をめぐる不透明感が解消されたこと、米供給管理協会(ISM)が発表した6月製造業部門景気指数が市場予想を上回ったことが、相場押し上げにつながった。
アバロン・パートナーズ(ニューヨーク)のチーフマーケットエコノミスト、ピーター・カルディッロ氏は「今週は経済指標がカギ」と指摘。「四半期末にかけて株価は順調に上伸した。経済指標の結果が出るまでは、利益確定の動きが先行するかもしれない」との見方を示した。
ソラリス・アセット・マネジメントのティム・グリスキー最高投資責任者(CIO)は「景気サイクル半ばの低迷に対して勝利宣言するのは時期尚早」と話す。「株価がここ数日で大幅に回復したことを考えると、雇用統計の発表に向けて警戒感が強まる可能性がある」と述べた。
今週発表予定の主要な経済指標は、5月の製造業新規受注(発表日:5日)、6月のISM非製造業景気指数(同6日)、6月の雇用統計(同8日)など。4日は独立記念日のため米国株式市場は休場となる。
<債務上限引き上げ問題、企業業績に関心移る>
先週1週間では、ダウ工業株30種指数<.DJI>は5.4%上昇、S&P総合500種指数<.SPX>は5.6%上昇、ナスダック総合<.IXIC>は6.2%上昇。各指数の上昇率は2009年7月以来の大きさだった。
ギリシャ債務問題がひとまず落ち着いたことから、市場の関心は、米債務上限の引き上げ協議に移っている。米財務省は1日、連邦政府の借り入れが8月2日以降、不可能になる、との見通しをあらためて示し、期限までに債務上限引き上げで合意するよう、議会への圧力を強めた。
米決算発表シーズンは、11日のアルコア
ソラリス・アセット・マネジメントのグリスキー氏は「商品価格の上昇を受け、国内経済には弱い部分がある。また日本や欧州、中国などさまざま要因を背景に、製造業にもやや弱さが見られる。これらが第2・四半期決算に影響を与え、業績見通しも一部、悪い内容になるかもしれない。そうなれば市場全体に幅広い影響が及ぶことになる」と述べた。