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鴻池運輸 Research Memo(3):主要事業は顧客先での構内物流を中心とした「複合ソリューション事業」(1)

発行済 2018-07-05 15:03
更新済 2018-07-05 15:20
鴻池運輸 Research Memo(3):主要事業は顧客先での構内物流を中心とした「複合ソリューション事業」(1)
9025
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■事業概要

1. 主な事業セグメント
鴻池運輸 (T:9025)の事業セグメントは、「複合ソリューション事業」「国内物流事業」「国際物流事業」の3つに区分されている。
2018年3月期の売上高構成比は、複合ソリューション事業が69.4%、国内物流事業が17.7%、国際物流事業が12.9%となっている。


(1) 複合ソリューション事業
同社は、会社設立当初は運輸業を行っていたが、同時に労務供給業も行っていたことから、顧客企業から様々な要望が出され、これに応えていく形で「工場構内請負業務」を拡大していった。
これが複合ソリューション事業の源流であり、同事業は現在でも同社の中心分野で、利益率も最も高い。


複合ソリューション事業とは、一言で言えば「顧客と一体になり、一連の業務を複合的に請負うこと」である。
その領域は、生産工程、流通工程、その他専門工程などに広がっている。
生産工程では、顧客の工場に同社グループの専門スタッフが専任担当として従事し、資材・原料の受入れから各製造段階や工場内での運搬業務、製品の検査まで包括的に業務を請負っている。


例えば主たる顧客である鉄鋼メーカーでは、原材料(鉄鉱石、コークスなど)の受入れ・運搬、製造工程での各種業務、でき上がった製品(圧延製品、熱延製品、冷延製品など)の検査・梱包、さらにこれら製品の保管・配送や港湾での荷役作業など幅広い業務を請負っている。
これらの業務請負は100年以上の実績と経験により積み重なってきたもので、参入障壁が非常に高い。


また、もう1つの大きな顧客である食品(飲料)メーカーの工場でも、50年を超える歴史があり、工場内外の物流関連業務だけでなく、原材料の受入れ・調合、パッケージング(瓶詰、缶詰、樽詰)、保管・ピッキング、出荷・店舗配送など幅広い業務を行っている。
顧客企業にとっては、これらの業務を同社にアウトソーシングすることで、自身は重要な業務(商品開発や生産工程での根幹業務、販売戦略など)に専念することができるメリットがある。


(2) 国内物流事業
同社が保有する冷凍・冷蔵倉庫やドライ(常温)倉庫を拠点として、定温管理が必要な冷凍食品、生鮮食品や一般商品の保管、流通加工、配送までを一括して提供する。
顧客は、食品メーカー、スーパー、コンビニ向け卸売会社などから各種機器、住宅メーカー、さらにはファッション・アパレル関連メーカーまで幅広い業種に広がっている。


このように様々な商品を取り扱っていることから、商品の入り数変更、アソート(商品のセットアップ)や販促ラベルの貼付なども行っており、ドライ倉庫においては、中元・歳暮などのギフト商品やアパレル商品の流通加工業務などにもきめ細かく対応することが可能になっている。


(3) 国際物流事業
国内外における海上貨物・航空貨物輸送業務、輸出入貨物の倉庫業務などを行っている。
生鮮食品から精密機械部品までカバーする輸送サービスを提供しており、これによって顧客の海外展開をサポートしている。
また顧客の海外工場建設に対応して、プラントの輸送・施工サービスも行っており、同社独自のソリューションを提供している。


2. 分野別セグメント
さらに同社は、上記の事業セグメントとは別に、「鉄鋼関連」「環境・エンジニアリング関連」「食品関連」「食品プロダクツ関連」「メディカル関連」「空港関連」「生活関連」「食品関連(定温)」「海外関連」の9つの分野別(向け先別)セグメントを開示している。
さらに「生活関連」は、「生活業務」と「物流業務」に分けられる。
以下はその概要である。


・鉄鋼関連:鉄鋼業界向け業務
・環境・エンジニアリング関連:主に環境関連及びエンジニアリング業務
・食品関連:主に食品業界向け業務
・食品プロダクツ関連:主に飲料業界向け業務
・メディカル関連:医療材科や医薬品に関連した物流業務および院内物流・滅菌代行業務
・空港関連:得意先拠点空港内での地上支援業務、航空貨物取扱業務
・生活関連:
(生活業務):日用品、住設機器、化学、ガス等の製造工場内での物流業務全般・設備保全業務等
(物流業務※):スーパー・コンビニ等の流通業界やアパレル業界向けの物流業務全般等
・食品関連(定温):主に冷凍・冷蔵倉庫を核とした物流サービス
・海外関連: 国際物流と国内での港湾・航空貨物事業、エンジニアリング業務
海外子会社における定温物流事業・コンサルティング事業など

※2018年3月期より「旧流通・アパレル業務」を名称変更


2018年3月期における分野別の売上高は、鉄鋼関連23.0%、食品関連26.3%、メディカル関連6.5%、空港関連7.4%、生活関連(生活)6.1%、生活関連(物流)11.1%、食品関連(定温)6.6%、海外関連12.9%であった。


以上のように同社の事業は鉄鋼関連、食品関連、メディカル関連、空港関連及び生活関連(生活業務)が複合ソリューション事業に含まれ、生活関連(物流)と食品関連(定温)が国内物流事業に含まれる。
なお、2019年3月期から、鉄鋼関連から環境・エンジニアリング関連を、食品関連から食品プロダクツを新たな分野として切り出している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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